経済分析の実際

経済をいかに制御するか。それが問題なのである。

経済の動きを予測し、経済の目的を達成するように、個々の経済主体を制御する。それが最終課題である。

経済の仕組みは、国民が生きる為に必要な財を生産し、分配する事である。故に、生産と消費、収入と支出、生産労働人口と総人口をどう釣り合わせるかが、経済の本来の目的である。

それ故に、問題になるのは、生産規模と消費規模の不一致、収入規模と支出規模の不一致、生産労働人口と総人口の不一致である。

現在の経済は、生産規模、収入規模を常に、消費規模や支出規模に対して過剰にしておく事で成り立ってきた。全てを過剰にする事で成り立っているために、余剰な部分が派生する。その余剰な部分をいかに処理するかが、最終的な課題となる。

生産や収入を過剰にする事で成り立っているのに対して、生産労働人口は、常に、総人口を下回っている。

故に、単位当たりの生産と消費、所得と支出をいかに均衡させるかが、経済の最終的課題となる。

第二点は、市場経済は、支払準備として「お金」を事前に配布し、配布された「お金」で財を購入する事で分配を完成する仕組みであるから、分配には、「お金」の配分の仕方と物価の二つの段階で成り立っている。「お金」を配分する為の構造と働き、効用を明らかにすると、同時に市場の仕組みを明らかにする必要がある。

故に、

  • 第一に、生産規模と消費規模の不均衡。
  • 第二に、収入規模と支出規模の不均衡。
  • 第三に、生産労働人口と総人口の不均衡。 この三つの不均衡をいかに解消するかが、市場経済の課題である。故に、まずこの不均衡を明らかにする事が第一の課題であり、資料作成の目的となる。 余剰な部分は、ストックとして蓄積され、次の、投資や支出を準備する。経済政策を立てる為には、ストックとフローのバランスが、経済に与える影響を考慮しておく必要がある。

「お金」の働きは、時間価値によって促される。単位期間の働きは損益(フロー)を形成し、単位期間を超える働きは、貸借(ストック)を構成する。フローは、収益や費用の源となり、ス第二点はトックは、投資の資本となる。

経済は、作為的な出来事である。無作為な現象ではない。天や神にその責任を転嫁する事は許されない。

経済的な変化は、自然落下のような変化とは異なっている。飛行機の軌跡のような内的な操作による働きが加わっている。

故に、どの様な意図によって、どの様な操作がされたかを、検証しないと、変化の仕組みを明らかにする事はできない。

経済主体は、主体である。主体の決定権は、主体内部にある。決定権が内部にない存在は、主体とは言えない。自分で決められるから主体なのである。

国家も、主体的存在である。あらゆる国家は、自国の問題は、自分で解決する権利がある。自国の問題を自国で解決できない、決定できなければそれは、主権国家とは言えない。主権がなければ、独立国とはみなされない。

あらゆる独立国は、自国の考えに基づいて戦略的に行動する。国家は、自国の国益を追求する事で成り立っている。

ところが、敗戦後の日本人は、主体的に自国の国益を追求してはならないかの如く思い込んでいる節がある。

日本は外圧に弱いと言われる。日本の経済を左右するような重大な決定が外国の圧力によってしか決められないと言うのであ。しかし、経済政策は、国民の福利、人権にもかかわる大事てある。それが、外国の圧力によって左右されているとしたら情けない話であるし、国家の存亡、独立に関わる事である。この事を肝に銘じておく必要がある。

経済を考察する上での大前提は、自国の国益は何かを明確にする事である。

国家政策も、戦略も、なければ、自国を世界に位置づける事はできない。世界に自国を位置付けられなければ、自国と他国との距離を測る事もできない。この様な国が経済に対して具体的な施策を作れるはずがない。だからこそ、国家としての方針、政策のない国は独立国とはみなされないのである。

何が知りたいのか。

何が知りたいのか、即ち、何が課題かは、経済の目的に基づく。

経済を生きる為の活動と定義する。この定義に基づくと経済の目的とは、全ての人々の生活が成り立つようにする事である。

国内に居住する全ての人の生きる為の活動が保証されている状態かどうかを検証する事が、経済を分析する第一の課題となる。

経済の最終目的は何をするのか。それは、生きる事の意義をどこに根ざすかによって違う。

最終的に既存の経済体制の持続可能性。つまり、今の経済は、持続可能なのか否なのか。

持続が可能でないとしたら、いつ、どのような形で破綻するのか。その時にとるべき対策は何か。

持続できなくなった時、経済体制はどうなるのか。既存の体制にとって代る体制はあるのか。

しかし、差し当たっては、経済が達成すべき最低限の基準についてここでは問題とする。なぜならば、生きる事の意義について考える以前に、人は、人として生きていかなければならないからである。まず、人として最低限の生活が営めるようにする事を、第一の目的として設定する事が、妥当と考えられる。なぜならば、生きるという事は、万人の共通した最低限の目的だからである。

また、経済の目的を達成する為には、どの様な政策をとるべきか。

どの様な経済体制、仕組みが経済の目的を達成させるために適正なのかを提案するのが最終的目的となる。

とりあえずは、現行の経済の仕組みを明らかにしたうえ、現行の経済の仕組みの問題点を明らかにする。それが当面の課題となる。

現行の経済は、市場経済である。

市場経済は、市場の働きを基礎とした経済体制、経済の仕組みである。故に、市場の働きを制御できなければ、経済を維持する事はできない。市場経済では、市場の働きを制御するのが最大の課題である。

経済の動きを予測する為には、市場の働く力の性格を明らかにする。

市場経済は、主体を構成単位とし、個としての違いを前提として成り立っている。故に、全体を一つに律する事を基準とするのではなく、全体と部分の調和を目指す事を基準として成り立っている。全体主義が一律の基準で部分を規定するのとこの点が決定的に違う。

故に、市場経済で問題とするのは、最低限の水準をどこにどの様に設定するかである。最高水準を制約する事を目的しない。それが市場経済の特徴でもある。

ただ、独占や格差によって市場の機能を妨げるようになると最高水準を制約する必要が生じるとされる。

重要なのは、水準である。即ち、平均と分散、分布である。

経済を動かしているのは、何らかの政策に依るのか、空間の歪みや傾向等に依るのか。

経済の変動は、内的要因と外的要因によって引き起こされる。内的要因とは、経済主体内部の動因による動きであり、外的要因とは、経済主体外部の力や働き(環境の変化や場の力等)による変化を言う。

何が経済の変化を引き起こすのか。直接的な政策か、空間の歪なのか。そこが問題なのだ。

経済主体の運動を構成する要素は、位置と運動と関係、時間の四つがある。

経済では時間軸の働きが決定的な影響を及ぼす。

経済分析では、時系列分析が重要である。

時間的な変化には、

  • 第一に、周期的な変化と非周期的な変化がある。
  • 第二に、短期的な変化と長期的な変化がある。
  • 第三に、季節変動がある。
  • 第四に、傾向的変化がある。
  • 第五に、突発的変化がある。

全体的空間と構造

経済を分析する前に、現行の経済を成り立たせている前提条件を明らかにする。

現行の経済は、全体と部分から成り立っている。

現行経済の全体は、空間と構造を持つ。

現行の経済は、構造を持っている。経済の構造は、複数の要素と場と力(制度、仕組み、関係)によって構成されている。

全体を構成する個々の部分も空間と構造を持つ。

経済を成り立たせている要素は、空間を構成する。

経済は、数学的現象である。

経済分析には、前提条件がある。

絶対量が、問題となる指標と相対量が、問題となる指標がある。この点の見極めが、経済を分析する際、重要となる。

現在の経済は数を前提として成り立っている。即ち、数学が基礎となる。その場合、数の概念、どの様な数の体系に基づくかによって経済の働きは違ってくる。特に、ナンバリングが重要な意味を持つ。

数の体系を象徴しているのが、貨幣制度である。貨幣制度は、数の体系を意味する。

経済を構成する要素には、人、物、「お金」がある。

人と物は有限であるからナンバリングは比較的容易であるが、貨幣単位は、上に開いているためナンバリングが難しい。それが現行の制度の一番の課題である。

経済の働きを明らかにする為には、

  • 第一に、総量の増減を見て、全体の変化の方向、傾向を把握しておく必要がある。
  • 第二に、全体や個々の制度部門の内部の構成比率の変化を見て働きの変化を探る必要がある。
  • 第三に、個々の部門、経済主体の過不足の変化を見る事で、「お金」が流れる方向を見る必要がある。
  • 第四に、残高をみる事で、個々の要素に蓄積された力を見る。
  • 第一に、総量の増減。
    • 総量の増減は、全体の変化、成長、拡大縮小等を表している。経済規模が拡大しているかどうか、市場が拡大しているのか、縮小しているのかによって市場に働く力の方向が違ってくる。だから、総量の増減を先ず見極める必要がある。
  • 第二に、構成比率の変化。
    • 部門の構成比率の変化は、部門の働きの変化を表している。重要なのは、収入に占める売り買いが占める割合と貸借による資金移動の割合である。
    • 資金の流れは決済によって生産財によって物の分配を実現する働きと支払いを準備する為の資金移動の二つの流れである。この二つの流れが均衡しなくなると資金は正常に働かなくなる。
  • 第三に、部門、経済主体の過不足。
    • 過不足は、財や人、「お金」の流れを生み出す働きがある。過不足は、需給関係に基づき、財や人、「お金」の流れる方向を定める。過不足は、最終的には部門間の残高に還元される。
  • 第四に、残高がある。
    • 残高は、財や人、「お金」の力を蓄える働きがある。即ち、蓄えられた経済の活力(エネルギー)量を残高は表している。財や、人、「お金」の流れの強さや量を制約する働きがある。

経済の運動には、直線運動と回転(循環)運動がある。

経済の変化の要素には、第一に、方向。第二に、速度。第三に、量。第四に、強さがある。

経済主体を動かす要因には、内的要因と外的要因がある。

経済の変化の要因の関係には、第一に相関関係。第二に、因果関係。第三に関数関係がある。

経済空間に働く力には、水準、回転(捩れ)、歪み、偏りなどがある。

経済を構成する要因は、空間、場を構成する。

経済の空間や場の働きは、条件や状況によって変化する。

経済の変化は、空間や場を構成する前提条件と状況によって影響される。

場の状態を測る基準に水準がある。

場の水準は、ストックによって形成される。場の水準は、経済変動の前提条件となる。

人的空間と構造

少子高齢化の何が問題なのか。

人口は急激に変化しない。故に、短期的には、前提となる。

総人口の推移。総人口が関わる経済的事象は、経済の基盤だと言っていい。総人口が関わる事象の第一は、消費である。

生産労働人口の推移は、生産性の実体の変質を表している。

生産労働人口と総人口の比率は、現実の少子高齢化の行き先を暗示している。これは現実なのである。

産業人口の推移は、我が国の産業構造の変質を示している。

所得の推移は、経済の規模の基礎を表している。

人の流れは、労働、所得、支出の流れである。

働いて報酬、所得を得て、生活に必要な物を市場から購入し、余りを貯金に回す。

支出は、消費支出と投資、預金から構成される。

大前提は、全ての国内居住者が最低限の生活を営める様にする事。あるいは、全ての国内居住者の最低限の生活が保障される事を前提としている。国民、ないし、国内居住者をどう定義するかは、その国の法に基づく。

最低限の生活を定義する場合、水準が課題となる。

人的構造の基礎となるのは、総人口と人口構成である。

人口で重要なのは、単に量だけでなく、人口の構成である。

人口は、年齢によって働きに変化がある。それが、要するに、年齢や能力によって人口は、性格に差が生じるのである。

この事は、人口の構成比が経済の基盤である事を意味している。人口の構成比の推移、変化によって経済の仕組みや政策を適宜変動させる必要があることを示唆している。

生産労働人口と総人口との均衡が問題となる。決定的なのは、生産労働人口と総人口との間にあるギャップ、乖離幅。比率なのである。

人的な働きの差をどの様に経済の仕組みに組み込むかが、経済の最大の課題となる。

家計を支えるのは、所得と支出であり、補うのが、預金と言った資産である。

市場経済では、全ての国内居住者に必要な資源を市場から調達する為に、支払準備としての「お金」が事前に配られておかなければならない。

この場合、全ての人口、即ち、全ての国内居住者の数を把握している事が、まず前提とされる。その根拠となるのが戸籍である。 全ての国内居住者をナンバーリングできるかである。

課題は、どの様な手段、どの様に経路で、どの様な基準で、誰から誰に「お金」を配分するかである。

現在の経済体制は、全ての個人に対して直接「お金」を手渡す仕組みではない。

世帯を一つの単位として収入を測る仕組みになっている。ただ、世帯というのは厳格に定義されているわけではない。

世帯とは、生計を共にする集団、あるいは個人とされる。つまり、生計が基準とされる。基本的に家族を指すとされる。

生計とは、日常の生活の資を共にする事を言う。

基本的に世帯の働きを基準に「お金」は、分配される。世帯の働きは、何によって誰が収入を得ているかによって定まる。

一つの世帯において収入を得られるものは限られている。特定の人間が稼いできた収入によって世帯の人間の生活は成り立ている。

つまり、一つの世帯の収入は、働き手の働きによって差が生じる。一世帯で、どれくらいの収入を見込めるのか。獲得した収入によって、 どれくらいの人数が生活する事が可能なのかが、決定的な課題となる。一世帯で、獲得できる最低限の収入で、生活できる人数の限界を越えたら、その世帯は、経済的に破綻するからである。

問題は、世帯を単位とした場合、必ずしも、全ての世帯に収入が行渡っているとは限らないという事であり、収入のない世帯をどう扱うかなのである。

また、世帯は、生計を元にしていると見做される集団だが、必ずしも、生計が一つとは限らない事が問題なのである。収入源が一つであるとは限らないし、生計が統一されていない場合もある。それが、現在の経済を複雑にする要因の一つである。

生計の基盤は、家計である。故に、経済の基盤は家計にある。家計を基礎として経済の在り方は考える必要がある。

家計の根本は、消費構造である。家計はの基本は、消費主体である。同時に、生産主体でもある。しかし、家計の軸足は、消費、支出にある。

家計は、生産部門に労働を提供し、所得を得る処を始まりとする。

問題は、どの様な経路によって所得が形成されるかにある。

自力で生活する為に必要な収入を得られない世帯は、公的機関が何らかの給付をする事が前提となる。

自前の収入に基づく世帯と公的給付に基づく世帯の比率が経済体制の持続可能性を左右する事になる。

人の問題は、基本的に労働と所得が生活に見合っているかにかかっている。つまり、労働によって得られた生産財の量と働いて得られた所得と生活の場で消費される支出との釣り合いがとれているか、否かの問題なのである。

生産にかかった費用と働きによって得られた所得、そして、生活にかかる支出の釣り合いが問題なのである。

それは、また、社会的分業を前提として成り立っている。つまりは、仕事の配分が鍵を握っている。仕事の配分をどの様にして取るか、それが社会的課題である。

物的空間と構造

人も物も有限だけれど、貨幣価値は上に開いている。土地がいい例である。人間が活用できる土地の広さは限られている。人口も有限である。しかし、「お金」は、増やそうと思えば無尽蔵に増やす事が出来る。

限りある土地を有限な人にいかに分配するか、そこに、経済の問題が隠されている。

全ての土地を一人の人間や限られた集団に割振ってしまったら他の集団に属する者は、住む家を失う。いくら金を積んでも、住める土地は、限られているのである。時々、この事実を人間は忘れる。住む家の問題は、限りある土地と有限な人との間にある問題なのである。「お金」は、その間を仲介しているのに過ぎない。本質は「お金」の問題ではないのである。

物の経済的価値とは、使用価値である。使用価値から交換価値が生じる。物は、交換価値だけを抽出する事はできない。何らかの経済的効用が求められる。銀を貨幣として使うにしても、銀は銀としての物の価値が別途ある。銀の物としての価値が銀の価値を制約するのである。

物の経済には、資産と費用がある。資産は、生産手段を指し、費用は、消費財を言う。

土地を、例にとる。

  • 土地は有限である。
  • また非償却資産であり、
  • 相場によって決まる。
  • また、土地の価格は、用途によって規制されている。

この様な土地の物としての属性が経済的価値を確定する。

土地の用途には、農地、工業用地、住宅地等がある。

物の流れは、生産、分配、消費、在庫という流れである。

生産は、仕入と費用、設備投資から構成される。

全ての国内居住者が生きていくために必要な資源を生産、あるいは、調達し、それを、必要な時に、必要なだけ、必要としている人に提供するのが、物の経済に最低限要求される課題。

生産されるだけでなく、全ての国内居住者の手元に、必要とされる資源が提供されなければ、経済の仕組みとしては、完結しない。

物的な経済では、生きていくために必要な資源を、どれだけ、どの様な手段によって、誰が生産をして、どの様な基準で、どこで運送し、どれだけ消費をするか。そして、蓄えておくかである。

経済の基本は、実際に生きていくために、一人ひとりが、何を、どれだけの必要としているかである。贅沢な生活をする事ではない。

いくら、「お金」があっても、物が不足したら、経済は成り立たなくなる。その時、市場は、制御不能な状態に陥るのである。「お金」によって市場が制御できなくなるのではなく、物が流れなくなるから市場は制御できなくなるのである。

物の経済は、いかに、必要な財を認識し、必要とされるだけ、生産し、市場に供給できるかにかかっている。

生産は、原材料と労働力とを組み合わせ、生産手段(土地や設備等)を活用して行われる。仕入と労働力、生産手段は費用を構成する。

物の経済は、基本的に、生産手段に対する投資から始まる。

市場は、財の需要と供給があって成り立っている。

物の経済では、生産性と効率が重視される。

現代経済の問題の多くは、余剰、過剰が原因として引き起こされているのである。

大量生産、手大量消費を前提に成り立っている。

現代経済は、不足を悪とし、余分、過剰な生産によって支えられている。その結果、大量のゴミや廃棄物を発生させ捨てている。 なんでも余剰、過剰となり、環境を破壊し、乱開発を引き起こしている。また、使い捨て社会が正常と見なされる。

本来、経済の効率は、素材、原材料を余りなく有効に活用する事を意味している。余剰、過剰も不経済な事の一種とされていたのである。また、それが経済のあるべき姿でもある。

過不足が少ない状態を保つ事が経済効率を向上させるという事を忘れてはならない。

生産財をナンバリングする事が可能か。これは、経済の実体を知る上で重要な要素となる。必要な資源に紐がつけられるかである。

貨幣的空間と構造

「お金」の流れは、出金、入金、残高という流れになる。

始めは、出金である。故に、支払準備のための「お金」を用意しておく必要がある。

「お金」の基本的な流れは、支払いを準備する為に、「お金」を獲得し、手持ちの資金を使って必要な資源を購入する事である。つまり、所得と支出である。

経済の基盤は、家計が担う事になる。なぜならば、家計は、所得と支出の根拠であるから。

所得も支出も家計が担う。家計の基礎となる。

最終支出は、一般政府と家計がする。

必要な財を調達する為に必要な総所得をどれくらいに想定するかによって物価は変わってくる。

単位当たりの収入と支出の釣り合いが課題となる。

決済に必要なだけの「お金」を予め市場に供給しておく必要がある。それが支払準備である。

支払準備で重要なのは、量である。

「お金」には、表裏の流れがある。表の流れは、決済の為の流で、裏の流れは、支払いを準備する為の移転である。

「お金」の表の流れには、消費に対する流れと、投資に対する二つの流れがある。

フローとストックの関係を確認する。

経済の仕組みを動かしているのは、収入と支出であり、収入と支出には、損益と貸借の働きがある。

そして、収入と支出以外にもう一つ重要な概念が残高である。この収入と支出、残高の関係からフローとストックが生まれる。

もう一つ、忘れてはならないのは、経済の基本は、自然数であり、余り算だと言う点である。

経済と自然科学で用いる数学の決定的な違いは、割り算に対する考え方の差にある。元々、経済の仕組みは、分配を目的としているのであるから、割り算の働きが重要となるのである。

「お金」の働きには、売買と貸借がある。

第一に、売り買い。

売り買いは、「お金」の効用を実現する働きである。財の貨幣価値を測り、確定する働きがある。売買取引は、損益、フローに反映する。

第二に、貸し借りがある。

貸し借りは、支払いを準備する。即ち、「お金」の効用が発揮されるのを準備する働きである。

経営が行き詰まった企業が子会社を作り、自社の固定資産を子会社に移す操作によって切り抜けようとする事がある。これは、フローとストックを分離する事を意味する。つまり、貸借による資金移動と損益による資金の流れを切り離す事で、貸借による資金移動の影響を損益に及ぼさないようにする事で資金繰りをしやすくするのである。

これなどは、フローとストックの関係を端的に表している。

「お金」の働きを測る要因には、増減、方向、量、速度、回転数、過不足、強弱、部門の働き、空間の歪等がある。

経済の時間的働きは、流動性を見る。

流動性が低くなると経済変動に対して脆弱になる。流動性が昂進すると安定性が低下する。

ストックとフローの違いは、資金の流動性、即ち、資金の流れの粘度によって決まる。資金の流動性とは、変動性、即ち、変動的か、固定的かの度合いを言う。即ち、残高が一定であるか、変動的であるかを基準とする。

固定費は、可処分所得の基礎条件となる。可処分所得の幅が狭まると選択肢の範囲も狭まる。

フローの元は、大概、ストック。金利の根拠は元手であり、利益は、収益が基礎であり、償却費は、資産を元にして計算される。

また、可処分所得は、借金の返済のよって圧縮される。

資金の調達力は、ストックの水準、担保力が大きく影響する。

ストックは長期的変動の形成してもいる。

ストックは、分母となり、フローは、分子を構成する。

UI(ユーザーインターフェイス)

ユーザー・インターフェースは、要は、出力である。つまり、何を出力するかの問題である。

経済分析を目的としたユーザーインターフェースの効用は、経済を制御する為のデータを即時的に提供する事にある。例えば、飛行機の速度計、高度計、燃料計のような計器である。

経済や経済主体を制御するという事は、経済や経済主体を囲む環境、状況の変化を予測し、あるいは、経済主体の運動を調節し、経済主体の操縦者(為政者)が適切な操縦(政策)をする事である。経営分析者は、操縦者が適切な操縦が出来るように情報を提供する事である。

経済や経済主体を制御する為には、どうすればいいのか。経済主体を制御するために必要なデータを瞬時に直観的に捉えられるように配置する。

変化をどうとらえるかが第一の問題である。先ず、変化を認知するかどうか。次に、どこが、どの様に変化したのか。何が、あるいは、どこが、どの様に変化しようとしているのか。事実と、現在と未来をどう区別するか。それが一つの鍵である。

変化を引き起こす力は、歪みから生まれる。故に、いかに歪みをを感知するかが分析の要となる。

経済や経済主体を制御するとはどういうことを意味するのか。

経済主体を制御する為には、

  • 経済主体を取り囲む環境や状況の変化を予測する必要がある。
  • 経済主体を状況や環境の変化に併せて、経済主体の仕組みを操作する必要がある。

この二点が鍵となる。

ユーザーインターフェースの要点は、予測するために、必要な計測をする事である。

何を、どの様に、アウトプット出力すればいいのか。

予測をする為に必要なアイテム。要素を上げると

  • 時系列。水準。比率(占有率)
  • 部門と全体
  • 残高(ストック)、需給(フロー)、過不足

これらの要素、アイテムを見える化する。

生産によって所得を分配し、支出によって財を購入して消費する。支出は収入に還元される。このような循環構造が経済の基本的流れとなる。この過程における局面をとらえて経済の動きを予測するのが経済分析の役割である。

変化を引き起こすのは、歪みである。 力は、空間の歪によって発生する。 生産を生み出す為の仕事と消費の為に必要な働きの均衡が経済活動の要因である。 故に、生産の為の仕事量をどう計るか、消費に必要な仕事量をど得測るかが、ユーザーインターフェイスの枠組みになる。

重要なのは、個々の局面を制約する枠組みなのである。

枠組みには、

  • 収入と支出
  • フローとストック
  • 経常的収入と、経常的支出(収益と費用)
  • 資産と負債

がある。

鍵を握るのは、部門間の流れる、売買による資金の流れと、貸借による移動の均衡である。

それをどの様に表現するかが重要となる。

それは、経済主体の収支に占める、所得と借金による収入の割合、消費支出と借入金の返済の割合に現れる。

経済主体は、外部経済と内部経済からなる。経済主体の外部経済とは、経済主体の外部、即ち、環境や状況の経済を指して言う。内部経済とは、経済主体内部の経済である。

外部経済の典型は、市場である。内部経済の典型は、家計、企業、一般政府である。

道路とか鉄道とか、インフラストラクチャーの仕組みや個々の自動車の仕組みも外部経済を形成する要素となる。

内部経済は、内部経済の構造の変化によって影響される。 その典型は、家計構造である。

特に、近年、顕著な変化は、核家族化、女性の社会進出に伴う内部経済の外注化である。外注化というのは、市場化、外部経済化を意味する。

注目しなければならないのは、消費経済の変化、変質である。消費経済の変化で得失すべきなのは、消費者金融の変質、変化である。

月給と賞与の働きにも重要な意味がある。月給は、経常的な収支を構成するのに対して、賞与は、日経常的、あるいは、長期的資金の流れを構成するからである。月給と賞与の構成は、産業構造にも影響する。

経済規模が伸び切ると内側に向かって収縮をはじめる。

これはフローとストックのつり合いがとれなくなるからである。

フローとストック李変化が与える影響も視覚化する必要がある。

この様な関係をいかに反映し、表現するかが、ユーザーインターフェースの肝である。

資料の作成

経済の仕組みは、国民が生きる為に必要な財を生産し、分配する事である。

問題なのは、生産規模と消費規模の不一致、収入規模と支出規模の不一致、生産労働人口と総人口の不一致にある。

現在の経済は、生産規模、収入規模を常に、消費規模や支出規模に対して過剰にしておく事で成り立ってきた。

故に、

  • 第一に、生産規模と消費規模の不均衡。
  • 第二に、収入規模と支出規模の不均衡。
  • 第三に、生産労働人口と総人口の不均衡。 この三つの不均衡をいかに解消するかが、市場経済の課題である。故に、まずこの不均衡を明らかにする事が第一の課題であり、資料作成の目的となる。

第二点は、市場経済は、支払準備として「お金」を事前に配布し、配布された「お金」で財を購入する事で分配を完成する仕組みであるから、分配には、「お金」の配分の仕方と物価の二つの段階で成り立っている。それぞれの構造と働き、効用を明らかにする必要がある。

「お金」の働きは、時間価値によって促される。単位期間の働きは損益(フロー)を形成し、単位期間を超える働きは、貸借(ストック)を構成する。フローは、収益や費用の源となり、ストックは、投資の資本となる。

また、余剰な部分は、ストックとして蓄積され、次の、投資や支出を準備する。経済政策を立てる為には、ストックとフローのバランスが、経済に与える影響を考慮しておく必要がある。

現在の市場経済は、生産や収入を過剰にする事で成り立っているのに対して、生産労働人口は、常に、総人口を下回っている。

故に、単位当たりの生産と消費、所得と支出をいかに均衡させるかが、経済の最終的課題となる。

消費は、確定的、固定的だが一定しているわけではなく、生活実態、条件によって大きく変化する。そして、それが個人所得、生活に決定的な働きをするのである。

家族構成や年齢構成によって消費や支出は変化する。また、所得の働にも影響する。

家族構成や年齢構成、ライフサイクルなどが複合的に組み合わさって生活に必要な時空間的な支出構造を構成している。

経済が一筋縄でいかないのは、個々の経済主体の在り方が一様一律でない事である。

経済の仕組みを明らかにし、将来を予測、対策を立てる事が資料を作成する最終的目的である。

資料作成の目的は、

  • 第一に、分析の対象国の基本的要件を定義する。
  • 第二に、経済を成り立たせている前提条件。
  • 第三に、前提条件がどのように変化し、それによって経済環境がどのように変わったかを明らかにする。
  • 第四に、場に働いている力、市場に働く力を明らかにする。第五に、経済を構成させる要因を明らかにする。第六に、要因間の関係。
  • 第七に、変化の分岐点は、どこにあったか。
  • 第八に、分岐点を準備したのは何か。
  • 第九に、分岐点に作用したのは何か。変化は何によって引き起こされたか。何が変化を引き起こしたのかを明らかにする事である。
  • 第十に、変化によってどの様な影響がどこに対して生じたかを明らかにする。

以上の点を踏まえてどの様な資料をどの様な項目によって作成するのかを明らかとする。

そして、資料に基づいて経済モデルを構築する。経済モデルの作成の目的は、将来を予測し、対策を立てる事にある。

まず全体の欲求を満たすだけの量が確保されているか。次に、適正に配分されているか。その上で、総量が不足した場合は、何に問題があるのか。適正に配分されていなければ、どこに、歪みや偏りがあるのかを見つけ出していく事である。

資料を作成するにあたっての前提条件を確認する必要がある。経済の前提条件とは、経済を成り立たせている条件である。

前提条件となるのは、

  • 第一に、直接経済に関わってはいないが、人口や政治体制、税法、商法、会計制度ような間接的に経済を成り立たせていたり、枠組みを作っている要件や少子高齢化や産業構造、特産物、温暖化、災害、疫病等の経済の動向を左右させるような要件である。
  • 第二に、地価の動向とか、市場の伸縮といった、経済現象の基礎に働く要因である。特に、土地や株価の動向や傾向と言った資産、ストックに関わる要件である。
  • 第三に、雇用や固定費のような短期的に見て変化が乏しい、あるいは、一定している事象、また、経済の枠組みを作る基調となる事象を言う。

経済資料を作成するにあたってまず基本的要件を明らかにする。 基本的要件は、

  • 第一に、政治体制(自由主義体制か、社会主義体制か)
  • 第二に、社会的要件。人口等。
  • 第三に、経済体制(統制経済か、市場経済かといった思想的な意味での経済体制)
  • 第四に、経済規模。又は、経済構造。産物など、地理学的な事。必要に応じ時系列で。
  • 第五に、税制、法制度、会計世度、為替制度など制度的要件。
  • 第六に。国際環境等である。 

高度成長期においては、経済の成長、市場の拡大を言う。つまり、高度成長時代は、市場の拡大を前提とした経済体制だと言える。それに対して、経済が成熟し、縮小段階になると、成長を前提とした経済政策は成り立たなくなる。また、政策の働きも変質する。この事を前提として考えないと、経済の構造的な変化に対応する事が出来なくなる。

また、規制、制度などは前提条件と見なしていい。固定相場制度だった為替相場などは、ニクソンショック以前は、前提条件と見なしてもいい。但し、規制を緩和したり、制度を変更する場合は、前提条件が変わる事を十分に留意する必要がある。規制を緩和したり、税制度を変更していながら、前提条件を変更しなければ、正確な予測はできない。

第一に、どの様な状況を望んでいたのか。どの様な状況にしたいのか。それが、政策を立案する為の根本なのである。経済を分析する場合、結果だけを追求して、根本の目的や理念をどこかに置き忘れている場合がある。しかし、それでは、後付けの理由に過ぎなくなる。結果は、目的と照らし合わせて評価すべきであり、結果ばかりを問題にしても意味ないのである。

何をどれだけ、調達し、生産するのか。それをどの様に制御するのか。

また、何がキーとなる政策なのか。政策を打ち出すために、政策の目的や狙いがあるはず。ところが、政策の結果、効果が表れ始めると、当初の目的はどこかに行ってしまい、結果に対する後付けの講釈ばかりされる。それでは、政策の正当な評価ができるはずがない。

政策の目的と結果、予定と実績、周囲の反応と副作用を検証する。

根底にあるのは、志であり、使命である。志や使命があって構想は組み立てられるのである。

経済は、何を目的とし、何を使命としているのか。一部の特権階級の私腹を肥やす事を目的としているのか。国民の生活を豊かにする事を目的としているのか、何を使命とするのかによって採るべき政策も違ってくる。

何を使命とするかを明らかにしたうえで、次に、考えなければならないのは、個々の部門の役割と働きである。全体の目的に部分の働きや役割は、準じるのである。だから、全体目的をまず明確にする必要がある。

気をつけなければならないのは、全体に、部分は、ただ従えばいいというのではなく。ベクトルを合わせるという意味である。全体に部分を合わせると言うとすぐに全体主義と取り違える者がいるが、全体は全体としての働き、部分には部分の働きがある。問題は、全体と部分の整合性の問題であって、全体か部分かの問題ではない。

全体の動きが見えなければ、部分は、自分の動きや位置づけができない。その意味でも、全体の働きや方向性を明確にする必要がある。

総所得は、付加価値を意味する。総所得の拡大を促すのは、総所得を構成している要素である。

営利性のない経済主体は、財の生産に関わっていない。即ち、実質的な付加価値を増やしていないのである。

民間企業の資金の調達力の低下が一番の問題なのである。付加価値、即ち、総所得を増減させる力は、非金融法人企業の生産的活動にある。

一般政府や金融機関は、生産的活動が制約されている。つまり、付加価値を生み出せない。付加価値である影響余剰を生みだせない。一般政府や金融機関が生み出せるのは付加価値は、支出としての雇用者報酬だけである。

しかも、支払い能力の範囲内でしか課税できない。

資金の調達力の範囲内でしか、支払いを準備できない。 そうなると資金の調達力と支払い能力の釣り合いが課税対象を制約していることがわかる。

資金調達力は、収益力と担保力できる。 担保力は、資産価値の余力と将来の収益力によって測られる。

収入にも、支出にも短期、長期的な働きがある。そして、収入も支出も短期的働きと長期的働きでは性格に違いがある。

短期的働きは、損益として現れ、長期的働きは貸借の上に現れる。

支出の短期的働きは、消費であり、長期的働きは投資である。

経済では、不足、即ち、物不足、人不足、金不足が深刻な問題を引き起こす。その為に、近代の経済は、不足を起こさないように、物も、人も、「お金」も、余剰が生じる状態を保つ事を基本的な目標としている。

第一の資料として、主な出来事を時系列に挙げたものを用意する。

その時代の根底にはどのような傾向があった、その時、その時にどの様な政策、対策がとられたかを見ていく。

華々しく政策を打ち出す政治家と後始末に追われる政治家に分かれるものだが、概して、華々しく政策をぶち上げた政治家の評判がよく、後始末に追われる政治家の評判は悪い。

政治家の言動に惑わされなく。政策の是非を検討する為には、一定期間、政策の意図・目的から結果を検証する必要がある。そうしないと、結果だけが問題とされ、意図や目的が忘れ去られてしまう危険性がある。

その時代その時代の環境の前提条件を明らかにしておく。

その時代、その時代、何が中心課題だったか、中心軸を構成したかを検証する必要がある。

経済政策の効果は,大体、十年で一巡すると考えられる。

政策が発令された当初は、劇的な、効果を現すのが、常だが、終盤に近づくに従って悪弊が目立つようになる。

政策には、産業政策、市場政策、金融政策、財政政策、為替政策等がある。

政策は、その時代の変化の基調を作り出すとともに、分岐点を形成させる力がある。

資金の流れがわかるような資料を作る。

経済変動に直接影響するような要件の資料を作成する。例えば人口の推移などである。

1970年以前。

1970年代以降の経済に対する布石、下地がどのようにして作られたかを明らかにしておく必要がある。

  • 高度成長の終焉
  • 財政危機。行財政改革。臨調。

1970年

  • 1971年8月、ニクソンショックが起きる。
  • 1973年10月~1974年3月、第一次オイルショックが起きる。
  • オイルショック後、規制は強化される。
  • 内需拡大が求められた。
  • ##### 産業政策

1980年

  • 1981~83年、第二次臨時行政調査会。日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社の分割民営化が決まる。
  • 1985年、プラザ合意
  • 円高不況
  • バブル形成

1990年

  • バブル崩壊
  • 会計、金融ビッグバン
  • 1997年 金融危機

2000年

  • 2008年 リーマンショック

2010年

2020年

  • そして、コロナショック。2021年、コロナショック、パンディミック発生。
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