バブルの構造

なぜ、バブルが発生し、また、何が悪かったのか、問題点を明らかにしたうえで、将来を見通し予測を立て、不測の事態に対する対策を作るための下地を作るのがこのレポートの目的である。 以上の目的を果たすためには、まず、経済の変化の概要をつかむ事が前提となる。

変化には、大きな変化と小さな変化がある。

不規則な変化と規則的な変化がある。規則的な変化とは、何らかの周期性があることを意味する。規則的な変化の背後には、何らかの法則が隠されている。この法則を探すのが一つの目的でもある。 大きな変化の典型は、GDPや人口、所得等がある。小さな変化、小刻みな変化には、為替、株価、物価などがある。ただ、表に現れる変化は、いくつかの要素、波が複合されたものである。 要素間の関係、特に、相関関係、因果関係をつかむことが予測の第一歩となる。 もう一つ重要となるのは、人的に作為的起こされた変化なのか。無作為な変化なのかである。更に、管理可能な変化か、不可能な変化を明らかにすることである。 変化には、全体的な変化と部分的な変化がある。一般に変化は、局所的、部分的変化が連鎖し、発展して全体的な変化になる。大きな変化には、予兆、兆しがある。大きな変化を予知するためには、予兆、兆しを的確につかむことである。兆しとは、異常なことである。 変化を引き起こす原因や要因には、場に働く力と要点に働く力がある。 場に働く力には、階層ある。底辺で固定的な層を形成するのがストックで、表層を形成するのがフロー、すなわち流れである。 以上の事を予め想定してモデルを構築する。 変化の枠組みは、時間の単位を基準とする。時間の単位は、ポイントと期間からなる。単位は、時間、日、月、四半期、半期、年がある。また順序を基本として時間の単位にとらわれない場合もある。いずれにしても変化の枠組みは、時間を基本とする。

予測をしたり、対策を立てるためには、流れを読む必要がある。

流れを読む時、鍵となるのが異常点や分岐点である。異常点や分岐点を察知するためには、まず、定常な流れ、正常な状態を定義する必要がある。

経済を構成する要素は、人、物、「お金」からなる。

経済を動かしているのは、流れ(フロー)である。流れを作り出すのは、残高の過不足(ストック)である。すなわち、人口の過不足、人の移動の流れ。物の過不足、物の流れ。「お金」の過不足、「お金」の流れが経済を動かしている。 人、物、「お金」の過不足や流れの状態に潜む異常点、転換点(分岐点)をいち早く察知し変化に備え、制御するのが経済政策の本旨である。

ここで重要なのは、経済を直線的な論理でとらえるのではなく。空間的、構造的、形としてとらえることである。要するに、複数の要因が相互に影響しあいながら同時並行的に変化していく。ゆえに、ゲーム的な感覚が求められるのである。

###バブルが発生した時の背景、大きな流れ、トレンドを理解しておこう。 次にバブルを引き起こす要因を時系列にそって明らかにしていきたいと思う。 また、経済の仕組みは、資金の過不足によって動かされている。故に、部門毎の資金の過不足の状態を残高、フロー、過不足からとらえておく必要がある。 大きな流れとしは、GDP、地価、為替、株価、原油価格、所得、物価、金利、人口などがある。 鳥瞰的にGDP、人口、地価、金利、為替、原油価格の推移によって全体像をつかむ。

###全体の変化である。 まず「お金」の変化である。「お金」の変化は、為替や負債、金利に現れる。 人、人口が基本となる。また、失業率や所得などにも表れる。 物は、物価や原油価格などに現れる。

###経済全体の変化を表す代表的な指標は、GDPである。今日の経済指標は、GDPに集約されているといっていい。 故に、GDPを目的変数として、総人口、雇用者報酬、付加価値、収益(売り上げ)、民間消費支出などを説明変数とする。 説明変数の中でも総人口は、長期的な変化であり、経済の基礎を形成している。 また、生活をしていくうえで欠かせない必需品一人当たり消費量の絶対量には限りがある。例えば、食料や土地、衣服等は有限である。バブルの際、地価は上昇したが、土地の絶対量が極端に変化したわけではない。バブルの時、実需とかけ離れたところで地価は、異常に急上昇したのである。

年=YEAr。x1 為替 円・ドル=yen a1 為替 ドル・円=dollar a2 日経平均=the Nikkei stock average a3 公示47住宅指数=housing index。a4 総人口=Total population a5 消費者物価指数=CPI Consumer price index a6

総生産=GDP y3

library(readxl)
soukan <- read_excel("~/soukan.xlsx", sheet = "soukan1")
soukan2 <- read_excel("~/soukan.xlsx", sheet = "soukan2")
bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
bb2 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb2")
bb3 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb3")
bb4 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb4")
par(mfrow=c(2,2))
plot(soukan$year,soukan$`housing index`,type="l",ylab="housing index",xlab="year")
plot(bb1$x1,bb1$a5,type = "l",ylab = "総人口",xlab = "year")
plot(soukan2$x1,soukan2$a3,type = "l",ylab = "日経平均",xlab = "year")
plot(soukan2$x1,soukan2$GDP,type="l",ylab="GDP",xlab="year")

変化には三つの形がある。

第一は、バブルを頂点に大きく山なりになっている形、第三は、バブルまで上昇し、その後、停滞し横ばいしている形、三つ目は、一見無原則に乱高下を繰り返している形である。 第一の形は、地価や株価、財務cfなどが代表的である。第二の形は、GDP、売上高、総人口などが典型である。第三の形は、営業利益、経常利益、為替などが典型である。 なぜ、このような三つの形が現れるのか。三つの形は、おのおの独立したものなのか。それとも何らかの関係があるのか。また、三つの形は、必然的なのか、人為的なものなのか。この辺を明らかにしていく必要がある。

###まず代表的な指標であるGDPを取り上げてみる。 日本のGDPは、バブルまで上昇しその後停滞している形の典型である。第一に、このようなGDPは、標準なのか。それとも、わが国固有のことなのかを明らかにする必要がある。次に、なぜ、日本のGDPは、このような形になったのか。その原因は、どこにあるのか。また、現代の経済は、成長を前提としているが、経済や市場は、拡大、成長し続けないと成り立たなくなるのか。 以上の点を明らかにしていきたい。

まずドル建てて各国のGDPを比較してみる。 JP=日本。UA=アメリカ。CH=中国。DE=ドイツ。MX=メキシコ。TR=トルコ。VE=ベネズエラ。SA=サウジアラビア

library(readxl)
wgdp <- read_excel("~/wgdp.xlsx", sheet = "wgdp")
## New names:
## * `` -> ...1
ts.wgdp <- ts(wgdp,start = c(1980),frequency = 1)
plot(ts.wgdp[,2:9])

#日本のGDPの変化の形は、日本独自のものといえる。 #独自というより特異といったほうが当てはまるかもしれない。 #自国通貨建てて比較してみる。

plot(ts.wgdp[,10:16])

ドル建てを自国通貨に置き換える。違った形が見えてくる。また、自国通貨建てのほうが変化が滑らかになる。 トルコは、自国通貨建ての場合は、右上がり急上昇しているのに対してドルに換算すると2013年を頂点として下降局面に突入している。このように単に自国通貨建てだけではわからない局面がある。自国の事象を普遍化するのは危険である。 いずれにしてもバブル崩壊後の長期停滞は、日本固有の現象といっていいだろう。

問題は、何が日本の経済成長を阻んでいるかである。

その謎を解くカギは、経済の変化の形に隠されていると思われる。

山なりな変化と横ばいの変化を見てみると共通しているのは、バブルが形成される段階に相関関係が崩れ、バブルが崩壊すると大きく変化が乖離している点である。全段階を一つの場として捉えるのではなく、段階に応じて場の働きが変化していると考えるべきなのである。 その時代その時代でどのような場が形成されているかを解明することが経済を予測したり、経済政策を立案する際の鍵となる。

グラフを比較してみると時代によって相関関係が変化していることが窺えるただ、単純に統計的に分析した場合、相関関係が強くなっ時点にいると何らかの法則があるように見えるし、相関関係が弱い時点でみると何の法則もないように見える。 その点が回帰分析の限界なのである。 例え、見せかけだとしてもその背後にどのような力が隠されているかを検証せずに軽々に相関関係の有無を否定も、肯定もできない。変化の背後にある場に、どのような力が働いているのか、環境や状況、前提条件に決定的な変化がなかったかを事前に検証しておく必要がある。 変化の裏側には、変化を引き起こす要因が隠されている。その要因の働きを明らかにすれば、変化の大要はつかめるはずである。 飛行機が上昇している時の機内の状態と巡航状態に移った時の機内の状態は違っている。落下状態になれば、機内は無重力状態に陥る。 バブル崩壊後の日本経済は、まるで無重力状態に陥っているように見える。

経済の流れは、明らかにバブルを分岐点として変化している。

第一に言えるのは、地価に大表される資産価値の異常な暴騰と崩壊後の下落である。第二点は、経済成長が停滞期に移ったことである。この二つの変化にどのような因果関係があったのか、それがバブルの原因を紐解くカギである。

目先の短期的な変化にばかりとらわれると変化本来の基調を見失いかねない。

学校教育では、方程式や恒等式は、解いたり、証明することに力点が置かれているが、経済の現場では、方程式や恒等式の構成や構成の変化が重要なのである。それは、方程式や恒等式を構成する要素がどのような働きをしているかを知りたいからである。

GDPを目的変数として、総人口、雇用者報酬、付加価値、収益(売り上げ)、民間消費支出などを説明変数とする。 GDPと総人口a5、雇用者報酬y1、付加価値d1、収益b4、民間最終消費支出y6の相関関係を調べてみる。

library(car)
## Loading required package: carData
cor(bb1[,c("GDP","y1","y6")])
##           GDP        y1        y6
## GDP 1.0000000 0.9922936 0.9944341
## y1  0.9922936 1.0000000 0.9852968
## y6  0.9944341 0.9852968 1.0000000
cor(bb1[,c("GDP","a5","b4")])
##           GDP        a5        b4
## GDP 1.0000000 0.9563812 0.9607997
## a5  0.9563812 1.0000000 0.8966357
## b4  0.9607997 0.8966357 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+y1+y6, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)

scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)

#総人口、雇用者報酬、付加価値、収益、民間最終消費支出は、いずれもGDPと高い相関関係を示している。

#1980年~1994年

cor(bb2[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
##           GDP        y1        y2        a5        b4
## GDP 1.0000000 0.9983587 0.9903980 0.9752597 0.9896087
## y1  0.9983587 1.0000000 0.9954948 0.9781155 0.9829878
## y2  0.9903980 0.9954948 1.0000000 0.9659678 0.9634587
## a5  0.9752597 0.9781155 0.9659678 1.0000000 0.9644916
## b4  0.9896087 0.9829878 0.9634587 0.9644916 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb2)

1985年~2005年

cor(bb3[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
##           GDP        y1        y2        a5        b4
## GDP 1.0000000 0.9862037 0.8984569 0.8999036 0.8837181
## y1  0.9862037 1.0000000 0.9551341 0.9545940 0.8145171
## y2  0.8984569 0.9551341 1.0000000 0.9965883 0.6536038
## a5  0.8999036 0.9545940 0.9965883 1.0000000 0.6636698
## b4  0.8837181 0.8145171 0.6536038 0.6636698 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb3)

1994年~2009年

cor(bb4[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
##             GDP        y1          y2          a5         b4
## GDP  1.00000000 0.5571924 -0.08159534 -0.04756419 0.61135474
## y1   0.55719240 1.0000000  0.73066796  0.74901529 0.41183796
## y2  -0.08159534 0.7306680  1.00000000  0.99019100 0.10393578
## a5  -0.04756419 0.7490153  0.99019100  1.00000000 0.08276543
## b4   0.61135474 0.4118380  0.10393578  0.08276543 1.00000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb4)

bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
library(car)
cor(bb1[,c("a3","a4","b10","z1")])
##            a3        a4       b10        z1
## a3  1.0000000 0.7138311 0.4869962 0.5125243
## a4  0.7138311 1.0000000 0.8953737 0.6714048
## b10 0.4869962 0.8953737 1.0000000 0.7836058
## z1  0.5125243 0.6714048 0.7836058 1.0000000
scatterplotMatrix(~a3+a4+b10+z1, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)

株価に対して財務CFや支払金利は、あまり高い相関関係を示していないが、ある程度の相関関係が見て取れる。 大恐慌やバブルの崩壊などの予兆として株価の急落があげられる。しかし、株価の急落が直接的に市場に作用するのではなく。株価の急落により、資産価値の実勢価格と名目価値とが乖離し、投資家や民間企業の資金調達力が失われることが主たる原因である。原因は、流動性が失われることなのである。 バブルの形成と崩壊の裏には、資金の流動性の問題が隠されている。 地価の下落や民間企業の資金需要の減少が経済成長に負荷をかけていることが考えられる。 表面に現れる物価や景気の背景には資金の流れが隠されている。注意しなければならないのは、部門間の資金の過不足の偏在である。部門間の資金の過不足は、資金の流れる方向を示している。

ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),frequency = 1)
plot(ts.soukan2[,2:7])

注目すべきなのは、GDP、総人口、地価の動向である。

総人口の推移が変化の基本線となってしいるのが読み取れる。

円・ドル 為替=en-dollar a1 ドル・円 為替=dollar-en a2 日経平均=the Nikkei stock average a3 公示47住宅指数=housing index a4 総人口=total population a5 消費者物価=CPI Consumer price index a6

付加価値=Added value。d1 総資本営業利益率=Return on total operating capital d2 総資本経常利益率=Return on total capital d3 売上高営業利益率=Operating margin d4 総資本回転率=Total capital turnover d5 有形固定資産回転率=Property,plant equipment turnover d6 棚卸資産回転期間=Inventory turnover d7 売上債権回転期間=Accounts receivable turnover d8 買入債務回転期間=Turnover of payables d9 従業員一人当付加価値=Added value per employee d10 労働装備率=Labor equipment ratio d11 設備投資効率=Capital investment efficiency d12

ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),freq=1)
ts.bb1<-ts(bb1,start=c(1980),frequency = 1)
plot(ts.bb1[,26:31])

plot(ts.bb1[,32:37])

市場経済の仕組みを動かしているのは、資金の過不足である。

故に、部門間の資金の過不足の状態は、経済の働きを理解するうえで不可欠である。

資金の流れの働きで重要なのは、流れる方向と量である。どちらに向かって流れているのか、あるいは、資金がどこに溜まっているかを見極めることである。 「お金」の流れる方向がカギなのであり、「お金」の流れる方向は、各部門の収支、資金の過不足に現れる。

所得、収益と借金は、表裏の関係にある。

売買と貸し借りは均衡している。貸借、すなわち、金融は、資金の過不足を補填するように動くからである。支払準備が不足したら借りるしかない。そして、「お金」は、貸し借りと売り買いの均衡の上に成り立っていて、その関係が「お金」を市場に人勧させているからである。 また、売りは買いであり、貸しは借り、収入は、支出である。売り手と買い手、貸し手と買い手があって取引は成り立ち。取引の総量をゼロ、すなわち均衡している。これが原則である。

表象貨幣の始まりは、借用証書、すなわち、借金である。

借金は、信用の上に成り立っており。表彰貨幣は信用を前提としている。貨幣制度は信用制度の上に形成される。 支払いを準備する手段が「お金」である。信用は、「お金」によって実体化され、保証される。支払準備は、信用制度の上に成り立つ。 市場取引が成り立つためには、一定量の支払い準備が必要される。支払準備が枯渇すると市場は機能しなくなる。 支払準備高が増えても、収益が上昇しなければ、市場経済の仕組みは機能しなくなる。

借入金の限度をどの程度に設定するか。この課題は、企業だけでなく、家計でも、一般政府でも深刻な問題として議論されてきた。 借入金の限界は、明らかに収入や所得に制約される。基本的に金利も含めた月々の返済額が定収を超えないというが前提となる。 借入金の返済などに充てられる資金は、最低限の生活費を差し引いた残りであることが前提となる。生活もできないほど、借金の返済に追われるようでは、借金をする意味がない。 しかし、定収の範囲を超えないと言っても借入金の返済目的以上の支出もある。収入の使い道は、借入金の返済ばかりではない。 家計収入から、支払を義務付けられている税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた可処分所得を自由に使える限度とする見方もある。 また、貯蓄や資産を含めた支払い能力を基礎とする考え方もある。 いずれにしても借入金の限度は、経済活動を破産させないための一つ目処であることは、間違いない。 借入金の限度を設定するうえで重要なのは、フローとストックの関係である。

バブル最大の問題は、資産価値が大幅に下落した結果、名目的価値と実質的価値が乖離した事である。

その事で、負債と資産、債権と債務の関係の本質が変わったのである。 貸借が売買に取って代わったら報酬の働きが変わる。

Assets/Total/Flow 部門別資金フロー

Financial 金融機関=institutions=ff11 一般政府=General government=ff12 国内非金融法人企業=Domestic nonfinancial sector=ff13 非金融法人企業=Nonfinancial corporations=ff14 家計=Households=ff15 対家計民間非営利団体=Private nonprofit institutions serving households=ff16 海外部門=overseas=ff17

plot(ts.soukan2[,38:44])

Financial suplus or dificit/Domestic nonfinancial sector/Flow 資金需給のフローの過不足

Financial institutions=ff21 General government=ff22 Domestic nonfinancial sector=ff23 Nonfinancial corporations=ff24 Households=ff25 Private nonprofit institutions serving households=ff26 overseas=ff27

ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),freq=1)
plot(ts.soukan2[,45:51])

注目すべきなのは、家計フローff15も過不足ff25もバブル崩壊後減少に向かっているのに、ストックfs15,fs25は上昇している点である。 また、民間の企業フロー14は、バブル崩壊後乱高下をしたうえ1997年を境に下落に転じ、過不足fs24は、バブル崩壊後急速に下落し、特に、金融危機の1997年に大きく下落した後、リーマンショックまで持ち直したところが、リーマンショックの際、再び大きく下落している。それに対して民間企業をストック残高からみると、ほぼ、GDPと同じような軌跡を描いている。それに対して、ストックの過不足は、むしろバブル崩壊まで一貫して、低下し、バブル崩壊後は神経質な動きをしている。

表面に現れた変化の度合いからして、1997年の金融危機前後にとられた政策を検証する必要があると思われる。 明らかに変化に断裂があるからである。

バブルの何が問題なのか。バブル崩壊前後にとられた政策に何か問題があったのか。

その辺を見極めることが重要である。 それは問題認識が、対策の鍵だからである。問題認識を間違ったら、最初から正しい対策は立てられない。 バブルのどこが問題なのかという点と、何を問題としたかの不整合が生じるとかえって逆効果になる。問題の本質を取り違えることは、往々にある。それ自体が問題なのではなく、当事者が自分過ちに気が付かないか、認めないことが問題なのである。問題設定を間違えた場合、いつ、当事者が自分のミスにいつ気が付き、修正をしたかが鍵となる。人は、往々に自分の過ちを隠そうとしてさらに大きな過ちを繰り返すものである。

Financial stock 部門別資金のストック残高

Financial institutions=fs11 General government=fs12 Domestic nonfinancial sector=fs13 Nonfinancial corporations=fs14 Households=fs15 Private nonprofit institutions serving households=fs16 overseas=fs17

ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),freq=1)
plot(ts.soukan2[,52:58])

1は、金融機関。2は、一般政府。3は、国内非金融法人、4は、非金融法人、5は、家計、6は、対家計非営利団体、7は海外部門を指す。

Difference between financial assets and liabilities/stock 部門別ストック残高の過不足

Financial institutions=fs21 General government=fs22 Domestic nonfinancial sector=fs23 Nonfinancial corporations=fs24 Households=fs25 Private nonprofit institutions serving households=fs26 overseas=fs27

ts.bb1<-ts(bb1,start=c(1980),frequency = 1)
plot(ts.bb1[,59:65])

民間最終消費支出=Private final consumption expenditure y1 政府最終支消費出=Government final consumption expenditure y2 総固定資本形成=Gross fixed capital formation y3 在庫品増加=Increase inventory y4 輸出-輸入=Export-Import y5 雇用者報酬=Employer compensation y6 営業余剰・混合所得=Operting surplus y7 固定資本減耗=Fixed asset depletion y8 生産・輸入品に課される税=Tax imposed on production imports y9

plot(ts.soukan2[,67:75])

利益の効用を理解する際、負債との関係を無視してはならない。

なぜならば、借金の返済は、利益の中から支払われるからである。しかも、借金の返済は、資金移転として認識され、損益上に現れないからである。このように損益上、すなわち、表面に現れない資金の流れが利益に与える影響を理解しておかないと表面に現れた景気によって経済の実態を見落としてしまう。 負債の増加は、目に見えないところで病が進行している予兆でもある。 長期借入金の返済原資は、減価償却費と税引き後利益に求められる。適正な利益が維持されずに、減価償却費と税引き後利益の和を返済額が上回ると負債は、自己増殖を始める。

借入金が仮に二倍になったとしたら単純に考えれば返済資金も二倍になる。つまり、表面に現れない支出、損益上計上されない支出がそれだけ増えることを意味する。表面に現れないからと言って支出は、支出である。この点を忘れてはならない。借金の元本の返済は、現金による支払いよりも厳しい。なぜならば金融取引が断たれるからである。

元本の返済の原資は、減価償却費と内部留保残高の和である。 返済資金が不足すれば、新たな借金で補填するしかない。新たな資金を担保するのは、資産の含み益と将来の収益である。 バブル崩壊後日本経済が長期低迷に入った原因がここにある。 つまり、バブルが崩壊することで資産価格が暴落し、さらに、無原則な規制緩和などによって企業が適正な利益を確保できなくなった事である。つまり、含み益と収益双方の道が断たれたのである。

規制緩和というのは、ルールの変更を意味し、それなりの効用が期待されることで正当性が認められる。無原則に規制を緩和することは市場を荒廃させるだけである。 GDPは、収益を基礎としている。収益が拡大しなければ、すなわち、売り上げが横ばいになり、外部からの資金調達が望めなくなれば、企業は、内部から資金を調達しようとする。内部資金調達の手段は、経費の削減と減価償却費、そして、投資の抑制である。これらの施策は、市場を縮小させ、格差を拡大させる。 成長が鈍化している時に負債が拡大することは、フローとストックの均衡を崩すのである。 問題は、いかに収益力を維持させるかにある。競争に特化するのは、重病人に全力疾走を強要するような結果を招くだけである。市場は、競争がすべてではない。

###市場経済は、フローとストックの均衡の上に成り立っている。 フローとストックは個々独立して働いているわけではない。 負債の増加は、フローとストック双方に影響を及ぼす。 フローとストックの均衡が崩れ、ストックが自己増殖を始めると金利がまず抑圧される。次に、利益が圧迫され、投資が抑制され、経費の削減に拍車がかかる。

金利に下げ圧力、費用、特に、人件費に下げ圧力、税金に下げ圧力、収益には下げ圧力、物価には上昇圧力がかかる。

補助金や給付金も資金移転であることを忘れてはならない。一般政府であろうと、民間企業であろうと、家計であろうと、それこそ金融機関であろうと借金は、借金であり、市場全体の負債、ストックを増大させていることには違いはないのである。

資金移転による「お金」の収入、言い換えると支出が、決済による収支の量を上回る。つまり、貸借によって売買が賄われるようになったら市場経済は成り立たなくなる。生産活動と消費活動が結びつかなくなるからである。その段階で市場の制御は不可能になる。

不況の後に金融危機が起こり、最後に物価の抑制が効かなくなる。

plot(ts.soukan2[,8:16])

ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),frequency = 1)
plot(ts.soukan2[,17:25])

金融機関長期借入金残高=long-term banks loans。b1 土地簿価=Land book value。b2 総資本=total captal b3 売上=sale。b4 原価=cost of sale。b5 在庫=stock b6 販売費、およぴ、一般管理費=selling,general and administrative expenses。b7 経常利益=Ordinary profit。b8 営業利益=Operating income。b9 支払利息 Interest expense,etc b10 有形固定資産残高=Tangible fixed assets。b11 減価償却費=deperciation。b12 借入金利子率=Borrowing interest rate。b13 動産・不動産賃借料(当期末) rent b14

資金需給 ソフトウェアを除く設備投資=Capital investment exciuding software。c1 地価需給=Land Find supply&demand c2 長期金融機関借入金(資金需給)=long-term banks loans Find supply&demand。c3 在庫投資=inventory investment c4

見てわかるのは、損益上の動きは、ほぼ、GDPと同じ形で動いているのに対して、資金の動きは、地価や株価の動きと同じ形をしているという点である。 例外は、支払金利の動きである。支払金利動きは、資金需給と同じ動きをしている。

景気の動向をみるうえで重要なのは、「お金」の流れる方向である。

バブル崩壊後の非金融法人企業、全業種、全規模のキャッシュフローを見てみるとバブル崩壊直後から財務キャッシュフローが大きく下落し、それに対して、営業キャッシュフローは、金融危機以後急速に立ち上がっているのがわかる。これは、資金の流れる方向が外部資金調達から内部資金調達に向かったことを表している。

par(mfrow=c(2,2))
plot(bb1$x1,bb1$z1,type="l",ylab="#財務CF",xlab="year")
plot(bb1$x1,bb1$z2,type = "l",ylab = "営業CF",xlab = "year")
plot(bb1$x1,bb1$z3,type = "l",ylab = "投資CF",xlab = "year")
plot(soukan2$x1,soukan2$GDP,type="l",ylab="GDP",xlab="year")

法人企業統計 全業種、全規模より計算 財務キャッシュフロー=Fanancial cashflow。z1 営業キャッシュフロー=Operating cash flow z2 投資キャッシュフロー=Investment cash flow z3

付加価値は、市場取引によって生み出される。

資金の流れを見るとき、付加価値を生み出す部門に流れているか、付加価値を生まない部門に流れているかがカギとなる。なぜならば、経済成長は付加価値によって促進されるからである。 成長を促すのは、付加価値である。付加価値は、市場取引を経由することで生み出される。 市場に「お金」が流れなければ、GDPは増えない。民間企業に「お金」が回らなければ付加価値は拡大しないのである。

豊かさの基準とは何か。

金持ちには、二つの意味がある。一つは、資産家という意味である。もう一つの意味は、高所得者という意味である。一般に、高所得者は、資産家である場合が多く。金持ちというのは、資産家でもあり高所得者でもあると思われがちである。 バブルの全盛時代には、資産家の貧乏人という人がかなりいた。そういう人の多くが相続税の問題に悩んでいたのである。そして、それが地価の高騰に拍車をかけたのである。 父祖代々の土地に居住していてその土地が高騰したというだけなのである。家は粗末であり、収入も少ない。しかし、資産だけは持っている。そういう資産家の資産家の貧乏人がバブル華やかりし時にはかなりいた。しかし、彼の多くは、豊かさを実感することはなかったと思う。 経済の目的が豊かさの追求にあるとしたら、真の豊かさというものを改めて考えてみる必要がある。