俺は悔しいんだよ。
こんな状態の国を、若者達に引き継いでいかなければならないのが。
でも、何をやっても変わらないと諦めたら、何も変わらないことだけは確かだ。
この国は、若者たちの国になるんだ。自分たちの国にするんだ。
そいつを忘れてもらっては困る。
世の中が悪い、政治家が悪い、教育が悪いといっても始まらないよ。
自分達に力でよくしようと努力していかない限り、この国は、よくならない。
俺は、いつもどっちもどっちもだと思っているんだ。
上の人間ばかりが悪いとも思ってないし。
若い連中ばかりが悪いとも思ってはいないけどね。
年寄りがどうの、若いのがどうのなんて関係ないよ。
結局、みんなの問題さ。
あいつがどうのこうのと言っているうちは何も変わらないよ。
誰だって辛い事には変わりないよ。
俺は、いつも思うんだ、自分が辛いと思った時、俺だけが辛いんじゃないよって。
みんな辛いんだ。
自分だけが辛いとおもったらおしまいだよ。
ただ、俺が辛い事がわかっても、だれも、助けようがないんだよ。
自分の限界は、自分と対決し、自分の力で、最後は、超えていくしかないんだよ。
だいたい、学校を卒業をして社会に出たら、自分の限界にぶち当たるものさ。
こんな事もできないのかって、泣きたくなったり、誰も分かってくれないって腹が立ったり。
でも、自分が一番分かっているはずさ。
何が悲しくて、何に腹が立っているのか。
皆、辛いんだよ。
程度の差はあれ、皆、辛いんだよ。
だから、一人では自分の限界を乗り越えられないけど。
それでも、最後は、自分の力で越えていかなければならない。
限界は自分ひとりでは超えられない。
信じ合える仲間、愛する人のために超えていく。
自分一人ではめげてしまう。
諦められる。
妥協してしまう。
でも、仲間がいたら簡単には諦めきれない。
やっるしかない。逃げられない。
大谷みたいな人間はいない。
いたって、うちの会社には来ないよ。
うちの会社に来る人間は、皆、どこかで挫折し、何か傷ついてくる。
劣等感の塊みたいな奴。欠点だらけ。
だから面白い。
俺は、そう思っている。
俺は、三十も、四十も年上なんだから。
だから、こいつ何に挫折し、何に傷ついているのかなって見ている。
皆がいい、いいと言ったら、そいつの弱点や、嫌なところを見て。
いいんだなって自問自答して。
皆が悪いことを言い出したら、まてよ、最初は褒めてたじゃないと考える。
俺はこいつと苦楽を共にしたいとかね。
一生共にしたいと思える仲間に会えたら最高だよ。
そういう仲間がいるから越えていけるんだよ。
でもね、これからの仲間は若い者たちが作っていくんだよ。
自分達のリーダーをね。
敵前逃亡する輩とは手は組めない。
何を待っているんだよ。誰を待っているんだよ。
待っていたって仲間は見つからないよ。
自分の手で探さなければ。
求めなければ、自分が求めなければ、仲間は見つからないよ。
最初から分かり合うなんて求めたら駄目だよ。
最初は振り向きもしない(笑)
諦めたらおしまいだよ。
ああ自分はなんてダメなんだと。
誰も俺の事認めてくれない。
言ったって無駄だと。
諦めたら、何も始まらなくなる。
成功なんて最初からしないさ。
悪戦苦闘しながら突き抜けた奴だけが成功するんだ。
期待するなら、自分にするんだな。
最初は誰も、わかってはくれない。
このやろうって格闘しながら、わかり合っていくんだ。
でも諦めたら、何も変わらない。
よくならない。
信じられなくても、信じるしかないのなら、信じるさ。
逃げ回ったって、楽園は見つからないと気がついたら、ここに踏みとどまって、ここをよくするしかないじゃないか。求めなければ、楽園なんて得られないんだよ。
諦めきれないと悟ったら。腹を括るさ。
ここで生きていこうって、覚悟して、前を見るしかないんだ。
諦めるくらいなら、一人になってもやり抜くさ。
そうしなければ、嘘偽り、いい訳と誤魔化しの人生になる。
やるきゃ内なら、やろうよ。始めようよ。
行動あるのみ。
生きてる限りあきらめはしない。
今日より、必ず、明日はよくすると。
だから、俺は今でも諦めない。
若い連中にしてやれるのは、あきらめずに前進する事さ。
十人しか残らなかったら、十人でできる会社にするさ。
身を縮めることを恐れるな。
残った連中だけで前進するさ。
座して死を待つくらいなら、進んで道を切り拓け。
高度成長の時代は、貧しいけど希望があった、バブルが弾けた後は、豊かになったけど、希望が持てなくなった。バブルが崩壊して二十年以上たち日本人は貧しくなった。
しかし、人々に、自分たちが貧しいという自覚がない。
だから、貧しい上に希望がない。
バブルの時の幻影にとらわれ、今でも、ジャパン・アズ・ナンバーワンと働こうともしない。
かつては、バラック、粗末な木造の商店が並んだ商店街も、ビル街になり、やがては、シャッター街へと姿を変えた。
魚屋のあんちゃんや八百屋のおばちゃんの掛け声はいつの間にか消え、そして、誰も居なくなった。
路地裏の小さな居酒屋や小綺麗な小料理屋が消え屋台もなくなり、高層ビルの一角のレストランに取って代わられた。
自分達でも幸せになろうと努力した。
自分で努力しない限り幸せなんかにはなれない。
貧しかったから、貧しかったからこそ。
幸せは単純だった。
まず家族が元気で一緒に暮らせる事。
結婚して、子供作って。
三度の食事がとれること。
昔の経営者は、社員を幸せにすることを第一に考えたものさ。
労働運動家の言うような搾取したくても搾取するゆとりもなかった。
一日の仕事とが終わったら、みんなで、その日の成果を語り合い、明日の準備をしたものさ。
だから報告、報告と強要しなくても、自分から進んでした。
最初は、ウィスキーは、ホワイト、角、オールド、リザーブと格を上げ。車もサニー、ブルーバード、ローレル、いつかは、グローリア、クラウンと。
今の子は、最初から高級酒、新車、高級車。
我慢しない、我慢できない。我慢しようともしない。
天丼、カツ丼なんて贅沢で。
バナナなんて病気の時しか食べられないから、たまにバナナなんて出されると「俺は病気か」と。
カレーの中に肉片を見つけると幸せな気分になれた。
でも今はグルメ番組が全盛で。
ラーメンくらいでは喜びもしない。
小さな居酒屋で安酒を煽っても、いつかは高級な酒をと。
今は、ビルの中のクラブで高級な酒を飲んでも酔えない。
きれいなホステスより気さくなおばちゃんが恋しくなる。
子供には惨めな思いをさせたくないと、自分は、中古に乗って。子供には新車を買い。
気がついたら、家族にも見捨てられて、独り、孤独死。
自分達で何とかしなければ、何にもならない、何もできないと、みんな知っていたから。
自分達で何とかしようとしなければ、何ともならない。
誰かが助けてくれると思っている限り、幸せなんかになれない。
もう一度ね、若者たちに希望をね。
でもね、希望はね。自分の心の中に灯すんだよ。
自分の手でね。
貧しのはね、自分の心さ。
自分の心の貧しさに、気がついたら、自分の手で灯すさ。
希望の灯を。