志がないわけではなく、ただ、忘れているだけさ。
さあ帰ろう。
あの頃に。
我々は、どこで間違ったんだ。
でも、原点に帰れれば。
間違ったところまで戻れれば、やり直すことができる。
ここでへこたれれたら、惨めさしかのこらない。
永遠に自分を取り戻せなくなる。
俺は俺だ。
失敗が何だ、挫折が何だ、間違えが何だ。
今、悔い改められれば、新しい道が開ける。
若々しく、みずみずしく。
向こう見ずで、無鉄砲で。
世間知らずで、型破り。
疲れも、諦めも知らず。
一途に信じていた。
なぜ、あの頃に帰れないというの。
長い間に心に堆積したヘドロを吐き出し。
心を覆う、瘡蓋をはぎ取る勇気があれば。
帰えれるはずさ。
だって、自分を惨めにしているのは自分なんだからさ。
少なくとも俺達はさ、ここまでやってこれたのだから。
ゴール直前で投げ出せるか。
俺たちの人生は、俺たちのものさ。
何も変わっていないんだよ。
何も、志はさ。
変わったと思いたいだけさ。
その方が楽だもの。
あの時も…。
でも、諦めたら、認めたら、今度は本当に終わってしまう。
隠居の戯言なんかじゃない。
若者に委ねるために、礎石となるんだ。
捨て石を志すのだ。
逃げってたまるか。
人は、生きるために働くのであって。
働くために生きているわけではない。
自分を押しつぶそうとする現実に抗い。
悩み苦しみ。
自分の限界に挑み。
理想を追い求めて、妥協を拒み。
不正や理不尽な力に憤り。
夜が明けるまで語り明かした。
些細な事でも、くだらん事でも真剣に議論して。
真剣に。時間を忘れて。
夢や希望を語り合い。
挫折した事も、一度や二度あるさ。
悔しくて泣いた事もね。
別れも。
苦しんでも、泣いて、喚いても、心はいつもワクワクしてた。
あの頃に戻ろうよ。
また、集まろうよ。
俺は、ここにいるよ。
みんな帰って来いよ。
志がないのではないさ。
ただ忘れているだけさ。
社会に揉まれ、妥協を強いられ、いつかいつかと自分をごまかし。
世の中に迎合しているうちに。
純なる魂を心の奥底に封じ込め。
仕方がないさと、見せかけの、偽りの生活に…。
でも、純なる魂が枯れ果てる前に自分を、もう一度自分を…。
若い魂を甦らそうよ。
覚醒した時、過去は蘇る。
人生は、豊な実りに満ちている。
自分を偽り、ごまかしている限り。
過去は、朽ち果て、腐っていく。
自分を受け入れよう。
醜さも、過ちも、欠点も、短所も、失敗も。
一切合切受け入れて、おおらかに飲み込んでしまおう。
妬みも、恨みも、憎しみも、悲し事も、悔し事も。
いいじゃないですか。それが自分なんですから。
ただ、いつまでも、そんな思いに囚われていないで。
純なる魂の情熱で、燃え盛る命の炎で焼き尽くせばいい。
これからの者たちの為に、若者たちの為に、次の世代の為にもさ。
俺たちがここで逃げたら。
だらしない事したら。
情けない事したらさ。
若者たちに失望しか残せない。
この国の未来の為にさ。
誇りを取り戻そうよ。
枯れたらだめよ。
生でなければ。
どんな時代でも。
忠臣蔵だって。
明治維新だって。
一番過激だったのは、年寄りさ。
人生は、いつだって、未完なんだ。
終わりはないさ。
続くさ。
負けてたまるか大和魂。
俺たちの人生は、まだ、過去形では語れないんだ。
終わってはいない。
終わりではない。終わらせない。
始めよう。続けよう。