実務を舐めないでほしい。
百人の会社というけど、一日、の作業量を単純計算すると。
三十分を一単位とし、八時間を基準にすると、一日、十六単位かける百で。
一日だけで千六百単位。
一か月の稼働日を二十とすると三万二百単位。
一年、 二百日だとして、六百万四千単位。
これらの単位が、直列的、並列的に結びつき、さらに複雑に絡み合って一つの仕事や組織を構成している。
システムや組織を開発する時は、これくらいの作業単位を抜け漏れなく、重複なく、総て、読み切る事が要求されるし。
我々は、草創期だったから、それを経験的に習得してきた。
実務屋、作業で、会話できないと仕事にならない。
ユーザーの要求を作業に置き換えあて論理的に組み立てるのが実務屋の役割。
システム屋が、仕事を、プログラム言語に置き換えるのが仕事のように。
自動車は、十万、ロケットは、三十万のパーツでできていてそのパーツ一つひとつが、線や、二千の工程を持っている。
それを、自動化できたから自動車もロケっても作れるので。
むろん、今、その工程をすべて読む必要はないけど、まあ、一部の仕事では要求されるけど。
システム化、平準化、標準化してあるから。
繋ぎつなぎの工程は読み取らないと仕事がつながらなくなるから。

各パーツは、人・物・金、五W一Hの要素を持っていて、しかも、前後の作業とのつながり、並行作業との関係がある。
だから、組織開発やシステムというのは、それを抜け漏れなく、重複なく、すべて読み切る必要があり、それも、内包的でなく外延的に分析する必要がある。
だから、当時のシステム屋というのは半端なくおかしかった。
作業の標準化、平準化、グループ化、モジュール化、オブジェクト化する事で、効率化図ったけどね。
かなりシステム化して、自動化したから。
だも、反面、基本基礎のできてる人が少なくなったよね。
会計でいえば簿記のわかる人とか仕訳のできる人がね。
ただ、分業だから。
それに、実務というのは、単純な作業の積み上げだから、馬鹿に見えるかもしれないが、単純な作業も何十万、何百万となると結構すごいよ。
物理も数学も同じだけどね。
だから、単純な作業を馬鹿にしないでほしい。

実務というのは単純作業の積み上げで、部分だけ見たら、つまらない事に見えるかもしれないが。

ただ、実務を舐めると仕事にならないから。
基本さえマスターすれば、そんなに難しきないよ。
手順、段取りの問題だから。

例えば、打ち合わせと言っても、集めて正式の会議で、非公式な打ち合わせで、個別に会って、電話で、手紙で、メールで、チャットでという具合。
場所も、相手のうちで、自宅で、会社の会議室で、喫茶店で、居酒屋でと、用件の内容や性格によって選ぶ必要がある。
それぞれの長所欠点でを検討しながら、瞬時で判断する事が求められる。
まあ野球とかサッカーのプロと変わらないよね。

イベントを開けと言って開けたら、誰も苦労しないんだよ。
イベントを開けと言われてから仕事が始まるので、その段取り道筋がつけられなければ、いつまでたってもイベントは開けないし。
仕事の計画、予定も立てられない。
イベントを開く為には、それなりの手数、段取り、手続きがある。
結構面倒くさいけど、一度、通しで経験すれば覚える。
途中で投げ出したり、止めるといつまでたっても覚えられない。
仕事がとん挫する原因の多くが根気が続かない事。
ある程度我慢することを覚えないと。

だから若い頃に場数を踏んでないとね。
怖がらないで。

ズルしたくなるのはわかるけど。ズルすることを覚えると一生祟るよ。
ずるする事、誤魔化す事、逃げる事、途中で投げ出す頃、嘘つく事、言い訳する事を覚えるな、覚えさせるなと、きつくいわれてきたけどね。
実際、この歳になると、身に沁みるね。
何せ、この歳になってもずるしたり、誤魔化したり、逃げたり、投げだしたり、嘘ついたり、言い訳ばかりの人間いるものね。

中には、わかりませんとか、できませんと口が裂けても言わないと言う人いるけど。
それが、一生祟るよね。
最初は、何もわからない。何もできないもんなんだからね。
何がわかって、何がわからないか。
何ができて、何ができないかを見極めないと、何も始められない。
今の大人、特に政治家を見ていると往生際が悪いと言うか、誤魔化したり、見え透いた嘘ついたり、逃げ出すことが多いよね。
一度始めたら、中途半端に投げ出すなと、きつく言われたけどね。

汝おのれを知れだよね。

ただ実務というのは現実だし。
自分の立ち位置、役割によって違う。
例えば、同じ自動車だって自動車のどの部分を受け持ち、どこに関わっているかによって仕事にも差が出る。

勘違いしている人いるけど、物理学者と自動車を設計する人、自動車を製造する人、自動車を運転する人は、役割が違うので。
F1のドライバーが、物理学を知る必要もなく、自動車設計できないから運転ができないというわけでもない。
ただ、それぞれの仕事に敬意を払い、必要とあれば、お互いの意見を聞く。
それだけで、組織も同様で、組織の原理を解明する者と、組織を設計する者、組織を組み立てる者、組織を運用する者は役割が違い。
経営者や実務屋はどちらかというと運用する側の人間。

年寄りは、今の若い者は、忍耐力や根気がなくて困ると言うが、これは、大きな勘違いで、私は、歳を取ると根気力や忍耐力が低下しているのを痛感する。
根気力や忍耐力があるのは若い頃で、だからこそ、若い頃に責任を持たせ、決断力を養っておく必要がある。
WBC だって、経験豊富なベテランを中心にしていたら優勝できなかっただろう。
栗山監督が、信じて、任せって、感謝すると言ったと言う。
それは正しいのだろうが、それは、プロで、野球に習熟してイリ人だから当てはまるので。
野球を知らない素人には当てはまらない。
何でもかんで、正しいとしたら。物事の本質は通じなくなる。

かつて、我々の先輩たちは、変えられない事を暴力的の変えようとした。
今は、間違いを変えられるのに、変えようとしない。
ハッキリ言てどちらも、過ちなのである。
ただ、できるのに変えようとしないのは、臆病なだけである。