志とは何なんでしょうね。
幾千もの、二十歳そこそこの若者が、長い時間かけて、爆弾を抱えて南の海に飛んでいった。
我々は、彼らに恥じない生き方をしてきただろうか。
恥じない生き方をしているだろうか。
同胞を売り渡し、裏切るような生き方をしていないだろうか。

彼らの志とはなんだったのたのだろう。
今、我々は問わなければならない。

彼らの生き様をあざ笑い、罵倒するが如き事を。
見過ごしてもいいのか。

彼らの志を次の世代、日本の若者たちに引き継いでいかなければならないから。
名もなき若者たちの志を。

何を若者たちに残せるのか。
何を若者達に残していかなければならないのか。
これからの生き様で見せていかなければならない。
残り少ない人生と言うなら。

爆弾を抱えて、南の海に飛んで行った、若者たちの思いを。
何のために、何を思い。
彼らの思いを無にしてもいいのだろうか。

六千人余りの若者たちの魂。

我々は、彼らに恥じない生き方をしているだろうか。
してきただろうか。

彼らは水平線の向こうに何を見ていたのだろう。
何を信じていたのだろう。
何を、祈っていたのだろう。
どんな国を望んでいたのだろう。

我々は何を託されたのか。
命がけというのはそれほど軽々しくは受け止められない。
何に、今の日本人は、彼らの事を忘れていこうとしている。
彼らの生き様を、彼らが命かけても守ろうとしてことを。
あざ笑うがごとく。

何を思って、南の海と飛んでいたのだろう。
金の為なら、魂を売れると言えるのか。

我々は、何のために、身を粉にして働いてきたのか。
家族を守るため。
自分の位を護るため。
メンツの為なのか。
定年を迎えて何が残った。
何を残せた。

会社の為と言い。世の中の為と言いながら。
一所懸命、仕事をしてきたというのに。
結局何が残ったというのか。
定年を迎えると、居場所も、帰る場所もなく。

それもこれも、大義を失ったから。

いつの間にか自分の為に働いて醜く老いさらばえようとしている。

もう一度、もう一度、あの若者たちの純な心を思い出して。
成すべきことを成さねば、死んでも死にきれない。

何が正義なのか。大儀なのか。
商売の道を踏み外し、浮利をあさる事が大儀なのか。

恥を知れ。浅ましく。
そう、己の胸に刃を向けなければ。
もういい、もういいと怠惰で安逸な時に身をゆだねてしまう。

年寄りこそ志せ。

いいさ、俺は、燃え尽きてやる。
燃え尽きた灰の中から、お前たちが芽を出すというのなら、すべてを燃やし尽くして、灰になるさ。
だから、諦めないでくれ。
この国のことを。
自分たちの未来を。