兵庫県知事は頭のいい人なのだろう。
少なくとも、自分は、そう自負しているだろうし、実際、誰よりも仕事をテキパキとこなすのだろう。
だから、周りが馬鹿に見えてしようがない。
それで誰の話も聞かなくなる。
問題は、そこにある。それでは、チームリーダーは務まらない。
「たまには、馬鹿な人間も聞いてみるか」という度量がなければリーダーは、務まらない。
逆に、自信がないとついつい、古参の人間の意見に偏りがちである。
そう言うときは、「若いものに任せるか」と頭を切り替えられないと目が見えなくなる。
兵庫県知事は、最後までクールに対応した。
あれだけたたかれているのに乱れるところがなかった。
話を聞いていると、極めて論理的ではあるが、側近や周囲の人間の意見を聞いている痕跡がない。
記者会見でも部下の忠告を無視している。
自分は正しいと信じている事を押し通していのかもしれないが。
確かに能吏なのだろうし、マスコミも常軌を逸してるようにも思える。
でもそこに落とし穴がある。
自分は正しいこと言っているんだから、文句を言われる筋はないし。
いつかは分かってくれる。
彼は、人の話を聞かないのが悪いと気がついていない。
だから、自分は正しいのに何でという事になる。
自分が許す側の人間だという事に気がついていない。
トップは自分を許してくれる人がいないという事を忘れるべきではない。
常に、許す側の人間になるように立ち回らなければならない。
だから、部下を信頼して任せるので。
任せるから許すこともできる。
自分で間違いを起こしたら誰も許してはくれない。
それがトップだ。
人の話を聞けなくなったリーダーはおしまい。
人間は、全知全能の神にはなれない。
先ずは、話を聞く。
聞く耳を持つ。
年長者からすれば聞くと怒るくせに、聞かないと何もしない。
部下からしたら、聞くと怒るくせに、聞かないと何も指示しない。
怒るから聞けなくなる、聞けないから何もできない。
悪循環に陥り、時間ばかりが立ち、ますます、仕事の着手が難しくなる。
仕事の敷居が高くなる。
どちらにしても、自分から聞いていく。
相手が、怒ろうと怒るまいと自分から声をかけ、聞いていく。
そうしないと何も始まらない。
「わからないことがあったら、わかる人間に聞け」と、よく注意された。
「どう言うこと」とき聞かすと。
「お前、あいつに聞いてわかると思うか。
わからない人間に聞けば、ますますわからなくなる。
馬鹿に聞けば、自分も馬鹿になる。
馬鹿になった結果は、自分が負わされんだよ。
指示する相手は選べないけど、相談する相手は自分で選べ。
相談する相手を間違うと、一生後悔することになる。
ヤクザに相談したら、ヤクザになるしかなくなる。
馬鹿な指揮官ということにまともに従ったら戦死するんだよ」と。
だから、戦場では、それなり対応する事を考える。
馬鹿というのは考えないという事だ。
馬鹿になるというのは考えなくなる。
考えられなくなるという事で。
要は、考えないと馬鹿になる。
考える事をさせないと馬鹿にする。
「わかる人間に聞け」というけれど、どうやら、その前に、人を見る目を養はなければいけないようだ。
ただ、年をとってから馬鹿にはなりたくない。
馬鹿にするな。
兵庫県知事は最期まで、俺のどこが悪いんだと。
わからないだろうな。
言っている事じゃない。聞く耳がない事だから。