元亨利貞

易に太極あり、これ両儀を生じ、両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず。

一陰一陽之を道と謂(い)う。之を継ぐ者は善也。之を成す者は性也。仁者は之を見て之を仁と謂う。知者は之を見て之を知と謂う。
百(ひやく)姓(せい)は日に用いて知らず。故に君子の道は鮮(すくな)し。

易は、人類の英知の結晶であり、至宝である。

無極にして太極(混沌たる根元)。
太極が動いて陽(分化発動する働き)を生ず。
動が極まって静なり。
静にして陰(統一含蓄する働き)を生ず。
静が極まってまた動。
一動一静、互いに其の根と為って、分かれて陰、分かれて陽、両儀立つ。
陽が変じて陰が合して、水火木金土を生ず。
五気(水火木金土)が順に動いて四時(四季)が行われる。
これを五行と言うけれども、要するに一陰陽である。
陰陽は一太極であり、太極はもと無極である。
五行が生まれるというけれど、各々其の性質は常に必ず一になる。
これが無極というものの本質(真)。

易は科学であり、確率統計である。
また、二進法であり、今日のコンピューター言語にも通じる。

機械学習にも通じる。

善く易を為(おさ)むる者は占わず

データを分析したり、計画を立てるにしても、何かをやろうとしたら、前提条件が重要になる。
ところが、意外と前提とか立ち位置などが粗雑、乱暴、いい加減に扱われていることが多い。

分析なども、前提を無視、あるいは決めつけてデータや、情報だけを対象に分析しているとどうしても回答が画一的で、同じことをただ言い換えているだけになりがちである。
誰であろうと、誰に対しても、同じことを繰り返すだけになる。
当然飽きられてしまい、最後には、話し相手にもされなくなる。

相手を見ていない。相手の条件を無視しているからで。前提がない。
画一的で一方的なのである。

​大体、相手の言っている事をどう理解したかは、その人にしかわからない。
自分の解答を相手がどう受け止めたかも検証する必要がある。

将(まさ)に叛(そむ)かんとする者は其の辞(ことば)を慙(は)じ、中心疑う者は其の辞(ことば)が枝(わか)れる。吉の人の辞は寡(すくな)く、躁の人の辞は多い。善を誣(し)うる人は其の辞が游(うか)び、其の守りを失う者は其の辞が屈(かが)む。

相談も、打合せも、話し合いも双方向の行為である。
画一的、一方的では、そもそも成り立たない。

人は、他人と同じ答えを求めているわけではない。
むしろ一人ひとり、違う対応する事を求めている。

自分だけ、自分は他の人と違うという意識は、誰にでもある。
何故なら、それが自意識であり、自意識がなければ、自分が保てないからである。

自分は特別なのであって、他の人と同じ扱いをするというのは馬鹿にしている。
そうなったら、人に合わせて、相手に合わせて、応答を変える必要がある。

年寄りの相談と子供の相談は、同じ事でも、受け答えは変えなければならない。

先生と生徒、医者と患者、経営者と社員、親と子、自ずと求めていることが違うのである。

易経の凄さは、相手に合わせた回答が許され、しかも、それが誠実にできると言うことだ。
同じデータに基づいていてもだ。

相手に合わせると言っても根本を変えたら話にならない。
易は、根本を変えずに人それぞれ対応を変えるのである。

陰陽と言っても、陰とは何か、陽とは何かと、辞書的、観念的にとらえる必要はない。
陰、陽を働きや状態だと思えばいいのである。
相反する、反対方向に働く作用。作用反作用の関係にある働き。
 
つまり、自分や原点から見て、対称的作用。相対的作用で、右と言えば左があり。 
前と言えば、後ろがある。

市場は、取引によって成立っている。
そして、取り引きは総て等価交換である。
この点を誤解している人が結構いる。
取引には、利益が含まれていて、引き価値の商品を高く売りつけていると。
それで、取引を詐欺行為、搾取だと。
だから、安売りは正義だと。
それは誤解であり、取引は常に等価交換で、等価交換だから成り立っている。
利益は、付加価値の一部を構成しているのに過ぎない。
営利行為は、詐欺とは違う。

余剰価値は、取引の中で生み出される付加価値のことです。
これは、商品の価値が取引を通じて増加することを意味します。
例えば、製品の品質やサービスの向上、ブランド価値の向上などが余剰価値を生む要因となります。

取引が等価交換であることを理解することで、利益を得るためには単に高く売るだけでなく、付加価値を提供することが重要であることが理解できる。取引が等価交換である事により、取引が双方にとって有益なものとなり、持続可能なビジネス関係が築かれます。

過剰な余剰価値は正されるべきですが、余剰価値そのものが悪いわけではなく。
そうしないと営利事業は成り立たない。
公共事業は利益を上げなくてもいい、利益を上げてはならないというのは、はなはだしい錯誤である。

売り手がいれば、買い手がいる。
貸し手がいれた、借り手がいる。
入金があれば出金がある。
債権が生じれば、同額の債務が派生する。
つまり、同じことが視点を変えると二つの行為になる事を陰と陽とする。
そこから、表裏の関係にある働きを反復、繰り返して、分類していく。
ある意味で弁証的にです。

例えば、イン・アウト、イエス・ノー、遠ざかると近づく、売り買い、貸し借り、内・外、前進と後退、攻めと守り、渡すと受ける、押すと引く、静と動、勝と負。

静と動は、動いている点を止めると静止して点が動き出すという関係。

このように作用反作用の関係にある働きに二律背反にある作用と状態を加味していく。

例えば、上げ・下げ、強・弱、裏・表、発散と収束、吐くと吸う、増と減、明と暗、名と実、濃と淡。

上げと下げが連動している時は、それも、計算する。

陰陽の法則は、
陰陽対立
陰陽は、常に存在する。、
混沌(この世)が、陰陽に分かれた時点から、陰と陽が独立に存在するという観念は、しごく当然なことである。
陰陽依存
すべてのものが、陰陽に分けられると言うことは、陰陽ででできていることになる。
逆に言えば、陰陽なしでは、存在できないことになり、陰陽が依存し合わなければならない。
陰陽消長(陰が増えれば、陽が減り、陽が増えれば、陰が減ること)
中正と言う器が必要になります。この中正の中で、陰陽は、バランスをとっているのです。
物が存在するためには、中正は、絶対に必要なものなのです。中正のバランスが、崩れると、物は、四散するのです。
陰陽転化(陰は陽に、陽が陰に、変わること)
陰の元は陽であり、陽の元は陰であるということを意味する。

天の道を立てて陰陽と言い、地の道を立てて柔と剛と言い、人の道を立てて仁義と言う。
又、始めをたずねて終わりに返ることによって死生を知ると言う。

陰、陽の働きが決まったら。
その働きで階層を組み立ていく。
易は六階層。

例えば、簿記で言えば、人を原点として、物(総資産)を陽(出)として、「お金」(総資本)を陰(入)とする。これが第一層。
第二層は。「費用」「資産」「収益」「負債・資本」
第三層は、「変動費」「固定費」「流動資産」「固定資産」「仕入れ」「粗利益」「流動負債」「固定負債・資本」というように「入」と「出」で組み立ていく。
これに、キャッシュフローを組み合わせてもいい。また、何らかの指標を組みこむ。

いろいろな組み合わせを試してみると。「イエス・ノー」なども、陰陽は象徴的に使えますから。対称性があるものは表裏となる例えば、「収益」と「費用」、「資産」と「負債」、「資産」と「収益」、「負債」と「費用」といった象を比較対照したりすることもできる。
また、損益分岐点分析に活用する事も。

指標による分析の限界を補えます。また、個々の卦を段階別に分析する、例えば、創成期、思春期、成長期、成熟期、老衰期、再生期ごとに対応する。

論理は、全体と部分(要素)からなる。
全体を構成する要素は、他の要素と何らかの関係で結びついている。
全体を構成する要素には、位置と働きがある。
論理には、構造がある。

易の基礎になるのが六十四卦である。
六十四卦の別の呼び名が、本卦。
本卦は、現在の状態や自分自身について、もっとも顕著に表す部分とされる。

初めのころ陰陽の二つだけしかなかった。
それが発展して小成八卦が生まれ、さらに細分化されて誕生したのが六十四卦です。

六十四卦は、八卦と八卦をかけ合わせること

六十四卦は八卦の2倍にあたる六つの爻で構成されています。

小成八卦は象を以て告げ、爻(こう)彖(たん)は情を以て言う。剛柔雜わり居(お)りて、吉凶を見る可し。変動は利を以て言い、吉凶は情を以て遷(うつ)る。是の故に、愛(あい)悪(お)相い攻めて、吉凶生じ、遠近相い取りて、悔吝生じ、情偽相い感じて、利害生ず。凡そ易の情、近くして而して相い得ざれば、則ち凶、或いは之を害し、悔い且つ吝なり。

爻とは、易の卦を表現する際に使用される棒記号のことを指します。
まっすぐな横棒─と、真ん中に切れ目のある横棒- -の二種類で表現されます。
爻は陽と陰に分かれ、─が陽、- -が陰を意味し、それぞれ陽爻、陰爻と呼ばれます。
さらに、奇数は陽、偶数は陰とされており、陽爻を数字の九、陰爻を数字の六で表します。
この爻が三つ組み合わさるとと八卦となり、さらに八卦が二つ組み合わさり六つの爻となったものが六十四卦となります。

爻辞こうじという爻についての解釈の言葉が示されてもいます。

八卦は象を以て告げ、爻(こう)彖(たん)は情を以て言う。剛柔雜わり居(お)りて、吉凶を見る可し。変動は利を以て言い、吉凶は情を以て遷(うつ)る。是の故に、愛(あい)悪(お)相い攻めて、吉凶生じ、遠近相い取りて、悔吝生じ、情偽相い感じて、利害生ず。凡そ易の情、近くして而して相い得ざれば、則ち凶、或いは之を害し、悔い且つ吝なり。

八卦は、易の基本中の基本となる、八種類の要素のことを指している。
この八種類の要素(天・沢・火・雷・風・水・山・地)によって成り立っていると古代中国では考えられていた。

天の四象は陰と陽の交合によって生じる日(太陽)・月(太陰)・星(少陽)・辰(少陰)、地の四象は剛と柔の交合によって生じる水(太柔)・火(太剛)・土(少柔)・石(少剛)としており、五行説に代えて、この日月星辰・水火土石の交錯をもって天地万物の生成変化を説明する。

八卦というのは、乾(けん)・兌(だ)・離(り)・震(しん)・巽(そん)・坎(かん)・艮(ごん)・坤(こん)の8つの卦から成ります。
それぞれの卦にはこの世の事象を表現する形である「象(しょう)」が与えられていますが、そのなかでも代表的な象を「正象」といい、自然の要素を用いて表します。

正象

乾は、天を表し。
兌は、沢を表し。
離は、火を表し。
震は、雷を表し。
巽は、風を表し。
坎は、水を表し。
艮は、山を表し。
坤は、地を表す。

卦徳
乾の働きは、健
兌の働きは、説(よろこ)ぶ。
離の働きは、麗(つ)く、明。
震の働きは、動く。
巽の働きは、入(い)る。
坎の働きは、陥る。
艮の働きは、止(とど)む。
坤の働きは、順(したが)う。

天地位を定め、山澤気を通じ、雷風相薄り、水火相射わず、八卦相錯わる。
往を数うる者は順にして、来を知る者は逆。
是の故に易は逆数なり。

神なる者は、万物に妙にして為すものなり。万物を動かす者は、雷より疾きは莫し。万物を橈ます者は、風より疾きは莫し。万物を燥かす者は、火より熯かすは莫し。万物を説ばす者は、澤より説ばすは莫し。万物を潤す者は、水より潤すは莫し。万物を終え万物を始むる者は、艮より盛んなるは莫し。故に水火相逮び、雷風相悖らず、山澤気を通じ、然る後能く変化し、既く万物を成すなり。

八卦は、それぞれ三つの爻こうから成り立っています。
それぞれの八卦が持つ意味合いを自然現象になぞらえたものが、正象。
八卦一つひとつが持つ、基本的な性質や特徴などを表したものが、卦徳。

乾は健なり。坤は順なり。震は動なり。巽は入なり。坎は陥なり。離は麗なり。艮は止なり。兌は説なり。
乾を首と為し、坤を腹と為し、震を足と為し、巽を股と為し、坎を耳と為し、離を目と為し、艮を手と為し、兌を口と為す。

その八卦を上下二つ組み合わせて、六十四卦が構成されています。
六十四卦は八卦の二倍にあたる六つの爻で構成されています。

内卦、外卦。

初爻、二爻三爻の三爻を内卦とし、四爻、五爻、上爻の三爻を外卦とする。

昔者、聖人の易を作るや、将に以て性命の理に順わんとす。
是を以て天の道を立てて陰と陽と曰い、地の道を立てて柔と剛と曰い、人の道を立てて仁と義と曰い、三才を兼ねて之を両にす。
故に易は六画にして卦を成す。
陰を分かち陽を分かち、迭いに柔剛を用う。
故に易は六位にして章を成す。

六十四卦の一つひとつに名づけられている呼び名のことを、卦名かめいと言う。
六十四卦の一つひとつを説明した解釈の言葉を、卦辞かじと言う。

卦の構成
一番下の爻が初爻。
初爻があらわすのは、弟妹。平社員。村。足。季節は1月~2月。

下から二番目の爻が二爻。
二爻があらわすのは、自分自身を表している部分です。
会社の中では係長。町。脚部。季節は3月~4月。

下から三番目の爻が三爻。
三爻があらわすのは、兄、姉。課長。市。股や腰。季節は5月~6月。

下から四番目の爻が四爻。
四爻があらわすのは、母。重役。大都会。腹。季節は7月~8月。

下から五番目の爻が五爻。
五爻があらわすのは、父。社長。首都。胸や背中。季節は9月~10月。

一番上の爻が上爻。
上爻があらわすのは、祖父母。会長。郊外。頭や首。季節は11月~12月。

面白いのは、自分が二爻に置かれている事である。

内卦とは、六十四卦に組み合わされている六本の爻のうちの下三つにあたる、初爻・二爻・三爻のことを指す。また、下の部分にあることから、別名、下卦とも呼ばれる。

外卦とは、六十四卦に組み合わされている六本の爻のうちの上三つにあたる、四爻、五爻、上爻のことを指す。また、上の部分にあることから、別名、上卦とも呼ばれる。

卦の種類には、内卦、外卦、単卦、裏卦、(重卦)、互卦、之卦、錯卦、綜卦、賓卦、(齏卦)がある。

本卦(ホンカ)とは、主体となる大成卦のこと。
之卦(シカ)とは、広義には、互卦、錯卦/裏卦、綜卦/賓卦など本卦から変じる大成卦。今後の可能性を現し。
狭義には、本卦の1つの爻だけを陰陽反転する大成卦。
変卦(ヘンカ)とは、之卦に同じ。
互卦(ゴカ)とは、本卦の二爻・三爻・を内卦/下卦とし。
三爻・四爻・五爻を外卦/上卦とする大成卦。隠されている事を暗示し。
錯卦(サツカ)とは、本卦の六爻すべてを陰陽反転する大成卦。逆の状況を現し。
裏卦(リカ)とは、錯卦に同じ。
綜卦(ソウカ)とは、本卦の六爻すべての位置を上下逆転に配置する大成卦。本質を現している。
賓卦(ヒンカ)とは、綜卦に同じ。
変爻(ヘンコウ)とは、これから変じる一つの爻。

天下同人を例にとると。

天下同人の之卦、変卦は、沢火革、離為火、風火家人、天雷无妄、乾為天、天山遯の六種類が現れる。
天下同人の互卦は、天風姤。
天下同人の裏卦は、地水師を現す。
天下同人の錯卦、賓卦は、火天大有である。

天下同人は、資本増、資産増、負債増、利益増、費用減、収益増の卦である。
離為火は、資本増、資産減、負債増、利益増、費用減、収益増の卦である。
天風姤は、資本増、資産増、負債増、利益増、費用増、収益減の卦
地水師は、資本減、資産減、負債減、利益減、費用増、収益減の卦
火天大有、資本増、資産減、負債増、利益増、費用増、収益増の卦である。

六十四卦の別の呼び名が、本卦。

大成卦とは本卦で構成された爻のうち特定の爻の陰陽を入れ替えたものをいう。

変爻は、逆の陰陽に変化する爻を求めます。

求めた爻の陰陽を入れ替えて得られる大成卦を、之卦と言う。今後起こりうる可能性を暗示しています。
ただ、あくまでも予測であり、必ずしもその方向に向かうとは限りません。さらに、裏に隠された事情や秘められた問題点などを詳しく探る場合などにも使用されます。

現れた六十四卦すべての爻の、陰陽を入れ替えたものを裏卦と呼ぶ。
隠れた自分や他人の本心を探りたい場合や、物事や状態の裏の意味を知るための参考になることがあります。

このような易の構造を活用して、分析用のプラットフォームを作る。
占うのではなく、爻には何らかの事象や数値を当てはめていく。
つまり易の構造が重要なのである。
陰陽は、+-でとらえてもいい。

易の構造が重要。
そして+-、INOUT、これらを組み合わせ、さらにオブジェクト指向を取り入れると、相手に合わせた対応をとっても一貫性は失われずに済む。
だいたい、百人いたら百人対応を違えるのが自然なんです。
いじめや、高齢者に対する対応も相手の立場に立った対応が可能となる。

まず、卦として状況や前提条件を明らかにし。
その概要、とるべき方針を卦辞としてあらわし、相手の状況条件に沿って爻辞を解釈する。
この手順が大切で。まず全体、全貌を捉え、それから、相手の置かれている状況を確認して。相手の立ち位置に沿って対策を立てていく。

これが易学的アプローチ。

地天泰(ちてんたい) 
彖辞
泰は、小往き大来る。吉にして亨る。

彖伝
泰は小往き大来る、吉にして亨るとは、則ち是天地交わりて万物通ずるなり。上下交わりて其の志同じきなり。内陽にして外陰、内健にして外順、内君子にして外小人。君子の道長じ、小人の道消するなり。

象伝
天地交わるは泰。后以て天地の道を栽成し、天地の宜を輔相し、以て民を左右す。

爻辞
上爻 城隍に復る。師を用うる勿れ。邑より命を告ぐ。貞なれば吝。
五爻 帝乙妹を歸がしむ。以て祉あり元吉。
四爻 翩翩富まず。其の隣りを以てす。戒めずして以て孚あり。
三爻 平にして陂かざる无く、往きて復らざる无し。艱貞なれば咎无し。恤うる勿れ、其れ孚ならば、食に于て福あり。
二爻 荒を包ぬ。馮河を用う。遐遺せず、朋亡ぶれば中行に尚うことを得。
初爻 茅を抜くに茹たり。其の彙を以てす。征けば吉。

小象伝
上爻 城隍に復るは、其の命乱れるなり。
五爻 以て祉あり元吉とは、中以て願いを行なうなり。
四爻 翩翩富まざるは、皆実を失うなり。戒めずして以て孚あるは、中心願うなり。
三爻 往きて復らざる无きは、天地際わればなり。
二爻 荒を包ぬ中行に尚うことを得るは、光大なるを以てなり。
初爻 茅を抜く征けば吉とは、志外に在るなり。

国家や義務、法、制度は、陰であり。国民や権利、投資、事業は陽である。
公は陰であり、私は、陽である。
世界は陰であり、自分が陽。
故に、国家、義務、法、制度が上にある、国民、権利、投資、事業が下にある。
地天泰の相を泰平とするのである。
即ち、民主主義は地天泰の相。
それに対して、天地否は、独裁制。天と地が別れて剣呑。

地天泰、天地否の初爻は、似て非なり。

天地否
卦辞
否の人にあらざる、君子の貞(てい)に利あらず。大往き小来(きた)る。
 
六十四卦における配列(序卦伝)
泰とは通ずるなり。物はもって終に通ずべからず。故にこれを受くるに否(ひ)をもってす。

彖伝
彖に曰く、「之を否ぐは人に匪ず。君子の貞に利ろしからず。大往き小来る」とは、則ち是れ天地交わらずして万物通ぜざるなり。上下交わらずして、天下に邦无き也。内陰にして外陽なり。内柔にして外剛なり。内小人にして外君子なり。小人道長じ、君子道消するなり。

象伝
象に曰く、天地交わらざるは否なり。君子は以て徳を倹しくし難を辟く。栄えしむるに禄を以てすべからず。

爻辞
上九 否(ひ)を傾く。先には否(ふさが)り後には喜ぶ。
九五 否を止(や)む。大人(たいじん)吉なり。それ亡(ほろ)びなんそれ亡びなんといいて、苞桑(ほうそう)に繋(かか)れり。
九四 命(めい)ありて咎(とが)なし。疇(たぐい)祉(さいわい)に離(つ)く。
六三 包羞(ほうしゅう)す。
六二 包承(ほうしょう)す。小人は吉。大人(たいじん)は否にして亨(とお)る。
初六 茅(ちがや)を抜くに茹(じょ)たり、その彙(たぐい)と以(とも)にす。貞(てい)なるときは吉にして亨(とお)る。

小象伝
上九 象に曰く、否終われば傾く、なんぞ長かるべけんや。
九五 象に曰く、大人の吉なるは、位正に当たればなり。
九四 象に曰く、命ありて咎なし、志行わるるなり。
六三 象に曰く、羞を包む、位当たらざればなり。
六二 象に曰く、大人は否にして亨る、群に乱れざるなり。
初六 象に曰く、茅を抜く、貞なるときは吉、志君にあるなり。

経済分析は、

上爻国際収支
五爻為替
四爻金融
三爻財務
二爻家計
初爻企業

裏卦は、資本収支となる。

あるいは

上爻国際収支
五爻GDP
四爻金融
三爻財務
二爻家計
初爻企業

陰陽は、対前年、あるいは、過不足などを使う。

経営分析

易は、経営実態や要素間の関係を図式化しなお、シミレーションできるモデルだと考えていい。

経営分析の原点は決算書の分析から入る。

天尊地卑。乾坤定矣。卑高以陳。貴賤位矣。動靜有常。剛柔斷矣。方以類聚。物以羣分。吉凶生矣。在天成象。在地成形。變化見矣。

天は尊(たか)く地は卑(ひく)くして、乾(けん)坤(こん)定まる。卑(ひ)高(こう)もって陳(つら)なりて、貴賤位(くらい)す。動静常有り、剛柔断(さだ)まる。方は類をもって聚(あつ)まり、物は羣(ぐん)をもって分れて、吉凶生ず。天に在りては象を成し、地に在りては形を成して、変化見(あら)わる。

借方が、出で陽。貸方が、入で陰。

是故剛柔相摩。八卦相盪。
是の故に剛柔相い摩(ま)し、八卦相い盪(うご)かす。

乾知大始。坤作成物。乾以易知。坤以簡能。
乾は大始を知(つかさ)どり、坤は成物を作(な)す。乾は易(い)をもって知(つかさ)どり、坤は簡をもって能(よ)くす。

経営の始点は、乾為天を原則とし、順な循環は、乾為天、地泰天、坤為地、天地否。
ただ、創業時は、利益が出ない場合がある、その時、始点は、天沢履になる。
逆な循環は、乾為天、天地否、坤為地、地泰天となる。
これも、創業時に利益が出ないと天沢履から始まるが、そのまま利益が出ないと天水訟となり。天地否へと逆流する。

乾為天の卦は、創業時には参考になる。

彖辞
乾は、元いに亨りて、貞に利ろし。

彖伝
大いなるかな乾元、万物資りて始む。乃ち天を統ぶ。雲行き雨施し、品物形を流く、大いに終始を明らかにし、六位時に成る。時に六龍に乗り、以て天を御す。乾道変化して、おのおの性命を正しくし、大和を保合す。乃ち貞しきに利ろし。庶物に首出して、万国ことごとく寧し。

象伝
天行は健なり。君子以て自らつとめて息まず。

爻辞
上爻 亢龍悔い有り。
五爻 飛龍天に在り。大人を見るに利ろし。
四爻 或いは躍りて淵にあり。咎なし。
三爻 君子終日乾乾。夕べに惕若たれば、厲うけれど咎なし。
二爻 見龍田に在り、大人を見るに利ろし。
初爻 潜龍、用うる勿れ。

小象伝
上爻 亢龍悔い有るは、盈ること久しかるべからざるなり。
五爻 飛龍天に在るは、大人の造せるなり。
四爻 或いは躍りて淵にあるは、進みて咎なきなり。
三爻 終日乾乾は、反復の道なり。
二爻 見龍田に在るは、徳の施し普きなり。
初爻 潜龍用うる勿れとは、陽下にある也。

問題は卦の象の組み方にある。

いくつかの象を考える。
象には絶対的という象はない。

先ず、内卦、外卦の象を組み立てる。
一つは、内卦を損益とし、外卦を貸借とする。
一つは、内卦を貸借とし、外卦を損益とする。
いずれにしても、相互に裏卦の関係になる。

次に、八卦の構成だが。
一つは、損益の構成を、初爻を収益、二爻を費用、三爻を利益とし、貸借の構成を、初爻を負債、二爻を資産、三爻を資本とする。
一つは、初爻を利益、二爻を費用、三爻を収益とし。貸借の構成を、初爻を負債、二爻を資産、三爻を資本とする。

今回、私は、初爻を収益、二爻を費用、三爻を利益、四爻を負債、五爻を資産、上爻を資本とする。

太極より両儀生じる。

決算書を太極とし、それから、借方、貸方を両儀とする。

上爻資本
五爻負債
四爻資産
三爻売上
二爻費用
初爻利益

陰陽は、対前年を使う。

並べ順や組み合わせを変えると多様な分析ができると思う。

爻を使う事で視覚的に訴えられ、五段階に色分けせればより立体的になる。
利益は、利益は、青の濃淡で、損失は赤の濃淡。マッピングの手法で。
費用は、前年との差。そうでないとプラスマイナスが判定できない。
濃淡をつける事で程度が視覚化できる。資金の増減で考えてもいい。

また、八卦で、上下に分けると違った見方ができる。
例えば、資本、資産、負債の象と利益、費用、収益の象で分けて見立てたり、上下を入れ替える。

陰陽を、部分的に入れ替え変爻を見てみる。それは将来予測にもつながる。例えば、減益を増益に置き換えてみる。

最終的にユーザーインタフェースをダッシュボードにするとコックピット化できる。

例えば、決算書を卦としてあらわす場合。
七行二列の表を作り。
一行目を項目項目行とし、一列目を借方(陽・運用・出)とし、二列目を貸方(陰・調達・入)とする。
二行目、借方、総資産の増減、貸方、資本の増減
三行目、借方、固定資産の増減、貸方、固定負債の増減。
四行目、借方、流動資産の増減、貸方、流動負債の増減。
五行目、借方、費用の増減、貸方、収益の増減。
六行目、借方、固定費(仕入れ)の増減、貸方、粗利益の増減。
七行目、借方、変動費の増減、貸方、利益の増減。

そして、個々の項目を前期との増減で増を青の濃淡、減を赤濃淡で見る。
そして、貸方、借方、各々の卦を読む。
また比較し、変爻、裏卦などを読み、先を予測する。

経営分析で、貸方も、借方も天地否の卦が出た場合は、かなり要注意である。
逆に地天泰ならば、成長の卦である。
天地否が一年目、初期なら、初爻を観る。
また、社長なら五爻をみる。
また、色々と変爻を貸方、借方試行して対策を練る。

内卦、外卦、単卦、裏卦、(重卦)、互卦、之卦、錯卦、綜卦、賓卦、(齏卦)という具合に。

変爻は、六種類、生じる。
これを、損益、収益、貸借で六の三乗の象による展開ができる。

それに、内卦、外卦、単卦、裏卦、互卦、之卦、錯卦、綜卦、賓卦という具合に加えていったらどれくらいの相をシミュレーションできるか。

さらに加えて爻の読みが六段階ある。

天地否の裏卦、綜卦は、地天泰である。
互卦は、風山漸である。
次の卦は風地観である。

借方と貸方、双方の互卦をみる。次に、借方だけの互卦、貸し方だけの互卦をみてみる。
同じ、操作を錯卦、綜卦などの変爻を繰り返す。

天地否の変爻は、初爻変は天雷无妄、二爻変は 天水訟、三爻変は 天山遯、四爻変は風地観、五爻変は火地晋、沢地萃。

一般に借方と貸方は卦が違う。
借方、貸方の卦を比較してみる。
借方が、天地否の場合。
貸方は、風山漸である事がある。
風山漸の裏卦は、山風蠱である。

象で見るというのが結構有効なんですね。数値だけだとかえって感覚的になる。

卦辞、爻辞も、含蓄があり深遠。

天地否は、いわゆる、バブルの時に現れる相、卦である。

収益も、利益も縮小しているのに、資産も、負債も、資本も拡大している。
資産価値が上昇しているので見かけ上、資本価値も拡大しているように見えるが、内容が伴っていないから、破綻するのは時間の問題である。

天地否の互卦は、風山漸である。

経営分析で言えば、流動資産と流動負債の陽を費用と売り上げの陰と取り換える事で天地否は風山漸の卦に変わる。
一歩ずつ漸次に進んでその序を越え過ごさないのであれば、正しい道を進んでいる事になる。
それで漸という。

風山漸

卦辞 漸、女歸吉、利貞、
漸は、女帰ぐごとくにして吉なり、貞しきに利ろし、

彖伝
彖曰、漸之進也、進得位、往有功也、
女歸吉、止而巽、動不竆也、
利貞、當位剛得中、進以正、可以正邦也、

彖に曰く、漸の進むや、進んで位を得、往すこと功有るなり、
女帰ぐごとくにして吉なりとは、止まって而して巽い、動くこと窮せざるなり、
貞しきに利ろしとは、位に当って剛中を得て、進むに正しきを以ってして、以って邦を正す可しとなり、

象伝
象曰、山上有木漸、君子以居賢德善風俗、

象に曰く、山の上に木有るは、漸なり、君子以って賢徳を居きて、風俗を善くす、

また、固定資産を固定費に変える(設備投資を止めてその分人を増やす)と、水火既済になる。
あるいは、長期負債を粗利益(設備投資を止めて、その分、仕入れを減らす)に変える事で。
天地否は、水火既済の卦の変わる。
いずれの場合も初めは収まるが後々、リスクを背負うことになる。
借方、貸方いずれか一方を変爻させることも可能である。

風山漸は、鴻が池から大空に飛び立っていくまでを例えている。
また木々が枝葉伸ばし、成長していく様を示している。
慌てづに手順を守れば順調に成長する。

爻辞
三爻 鴻、陸に漸む。夫征きて復らず、婦孕みて育わず。凶なり。冦を禦ぐに利ろし」
鴻が平原に進んだ。夫は行ったまま帰らず、妻は子を育てない。凶。外敵を防ぐがよい」

六四 鴻漸于木。或得其桷、无咎。
鴻(こう)、木に漸(すす)む。或(あるい)は其桷(かく)を得(う)れば、咎(とが)なし。

天地否の三爻、四爻と読み比べてみる。
三爻「羞を包む」
「そのように包容されることは、恥ずべきことである
四爻 有命无咎。疇離祉。
天命に従っていけば問題はない。志をおなじくする者と協力することでお互いに幸せになる。

火水未濟

繋辞上伝に「天一地二。天三地四。天五地六…/天は一、地に二、天は三、地は四、天は五、地は六…/占いに用いる数の概念は天地に基づいている。
天を一とすれば地は二、天を三とすれば地は四、天を五とすれば地は六…。
すなわち天を示す数は奇数であり、地を示す数は偶数である。」とある。
それゆえ、六十四卦の初爻から上爻のうち、奇数である初爻、三爻、五爻には陽爻(天)が位置して、偶数である二爻、四爻、上爻には陰爻(地)が位置すべきだと考える。
水火既済はその条件を全て満たしている六十四卦中唯一の卦である。
さらに初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻の陰陽応じる関係と、初爻と二爻、二爻と三爻、三爻と四爻、四爻と五爻、五爻と上爻の陰陽比する関係を全て満たしている。
以上のように、奇数・偶数、応比の関係を全て満たしているのは六十四卦中水火既済だけである。
それゆえ、水火既済は全てにおいて完成した時とされる。

「乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤」
三つの要素で八卦を作る。八卦とはオブジェクト、モジュールである。
例えば、売上、粗利、利益(収益のモジュール)を組み合わせて八卦を作る。

それを組み合わせて卦を作る。
例えば、費用、固定費、変動費(費用のモジュール)。
総資産、固定資産、流動資産(総資産のモジュール)。
資本、固定負債、流動負債(総資本のモジュール)。

組み合わせは、総資産と費用。
総資産と収益。
総資本と費用。
収益と費用。
総資本と収益。

八卦は、それぞれ三つの爻こうから成り立っています。
それぞれの八卦が持つ意味合いを自然現象になぞらえたものが、正象。
八卦一つひとつが持つ、基本的な性質や特徴などを表したものが、卦徳。

易に太極あり、太極から両儀生じる。

経営

まことに、経営は混沌としていて、その本質は、太極である。
易に太極あり。
経営から、損益と貸借が生じる。
また、増益と減益が生じる。
増資、減資が生じる。
太極から両儀が生じる。
損益は陽、貸借は陰である。
増益は、陽、減益は陰。
増資は、陽、減資は陰。

経営からは、増益と減益が生じる。

増益には、増益増資(老陽・太陽)と増益減資(少陰)が生じ。
減益には、減益増資(少陽)と減益減資(老陰・太陰)が生じる。
両儀より四象が生じる。

四象とは老陽、少陰、少陽、老陰をいう。
「老陽」と「老陰」は「太陽」「太陰」と書くこともある。
少陰は、陽の中に陰が入り込み。少陽は、陰の中に陽が入り込む
少陽は老陽に変わり、老陽は少陰に変わり、少陰は老陰に変わり、老陰は少陽に変わる。
四季になぞらえれば、少陽は春、老陽は夏、少陰は秋、老陰は冬になる。

四象から八卦が生じる。

老陽から乾と兌が生じ。少陰から離と震が生じ。少陽から巽と坎が生じ、老陰から艮と坤が生じる。

是故剛柔相摩。八卦相盪。
是の故に剛柔相い摩(ま)し、八卦相い盪(うご)かす。

乾知大始。坤作成物。乾以易知。坤以簡能。
乾は大始を知(つかさ)どり、坤は成物を作(な)す。乾は易(い)をもって知(つかさ)どり、坤は簡をもって能(よ)くす。

易に、不易、変易、簡易の三義あり。

損益にたとえれば、初爻を売上、二爻を費用、三爻を利益とする。

損益を例にすると、乾は、売上増、費用増、利益増で健やか。
兌は、売上減、費用増、利益増で説(よろこ)ぶ。売上も増えているが、それ以上に費用が増えているから利益が減っている。
離は、売上増、費用減、利益増で麗(つ)く、明。費用が減って、売上も増えているので利益が増えている。
震は、売上減、費用減、利益増で、動く。売り上げが減ってて費用が減っているのに利益が増えている。
巽は、売上増、費用増、利益減で、入(い)る。売上が増えているけれど費用が増えたのに、利益が増えた。
坎は、売上減、費用増、利益減で、陥る。売上が減り、費用が増えたから、利益が減った。
艮は、売上増、費用減、利益減で、止(とど)む。売上は増えて、費用が減っているのに、利益が減った。
坤は、売上減、費用減、利益減で、順(したが)う。売上も、費用も減って、利益も減った。

貸借に例えると初爻、負債、二爻、資産、上爻、資本
乾は、負債増、資産増、資本増で健やか。
兌は、負債減、資産増、資本増で説(よろこ)ぶ。資産、資本とも増えて、負債が減っている。
離は、負債増、資産減、資本増で麗(つ)く、明。負債が増えているが、資産が減っていて資本が増えている。
震は、負債減、資産減、資本増で、動く。資本が増えて資産、負債ともに減っている。
巽は、負債増、資産増、資本減で、入(い)る。資本が減って資産、負債も増えた。
坎は、負債減、資産増、資本減で、陥る。資産が増え、負債、資本ともに減っている。
艮は、負債増、資産減、資本減で、止(とど)む。負債は増えたけど、資産も資本も減った。
坤は、資本減、資産減、負債減で、順(したが)う。資本も、負債も、資産も減った。

損益を内卦、貸借を外卦とする。

損益の代わりにキャッシュフローを使ってもいい。

初爻、営業キャッシュフロー。二爻、投資キャッシュフロー。三爻、財務キャッシュフロー。

乾は、営業キャッシュフロー増。投資キャッシュフロー増。財務キャッシュフロー増。健。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、総て増えている。
兌は、営業キャッシュフロー減。投資キャッシュフロー増。財務キャッシュフロー増。説(よろこ)ぶ。投資キャッシュフロー増。財務キャッシュフロー(借入金)が増えて。営業キャッシュフローが減っている。
離は、営業キャッシュフロー増。投資キャッシュフロー減。財務キャッシュフロー増。麗(つ)く、明。営業キャッシュフロー。財務キャッシュフローが増えて。投資キャッシュフローが減っている。
震は、営業キャッシュフロー減。投資キャッシュフロー減。財務キャッシュフロー増。動く。財務キャッシュフロー増。営業キャッシュフロー減。投資キャッシュフロー減。
巽のは、営業キャッシュフロー増。投資キャッシュフロー増。財務キャッシュフロー減。入(い)る。営業キャッシュフローと投資キャッシュフローが増えて。財務キャッシュフローが減っている。
坎は、営業キャッシュフロー減。投資キャッシュフロー増。財務キャッシュフロー減。陥る。投資キャッシュフローだけ増えて。営業キャッシュフロー、財務キャッシュフローが減って。
艮は、営業キャッシュフロー増。投資キャッシュフロー減。財務キャッシュフロー減。止(とど)む。営業キャッシュフローだけ増えて。投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローは減っている。
坤は、営業キャッシュフロー減。投資キャッシュフロー減。財務キャッシュフロー減。順(したが)う。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローすべてが減。

次に借方、貸方に分けて見てみる。
両儀から四象を生じ、四象は八卦を生じる。

老陽から乾と兌が生じ。
少陰から離と震が生じ。
少陽から巽と坎が生じ。
老陰から艮と坤が生じる。

借方は、総資産と費用からなる。
貸方は、総資本と収益からなる。

収益

まことに、収益は混沌としていて、その本質は、太極である。
易に太極あり。
収益から、増益と減益が生じる。
太極から両儀が生じる。
増益は陽、減益は陰である。
増益には、増収増益(老陽・太陽)と減収増益(少陰)が生じ。
減益には、減益増収(少陽)と減益減収(老陰・太陰)が生じる。
両儀より四象が生じる。
四象から八卦が生じる。

収益を例にすると、乾は、売上増、粗利益増、利益増で健やか。
兌は、売上減、粗利益増、利益増で説(よろこ)ぶ。粗利益も収益も増えているのに利益が減っている。
離は、売上増、粗利益減、利益増で麗(つ)く、明。粗利益は減っているが、売り上げが増えて、利益が増えている。
震は、売上減、粗利益減、利益増で、動く。売り上げが増えてもいるのに粗利益が減っているので利益が減っている。
巽は、売上増、粗利益増、利益減で、入(い)る。売上が減っているけれど粗利益が増えたので、利益も増えた。
坎は、売上減、粗利益増、利益減で、陥る。粗利益は増えたけど、売上が減って、利益は減った。
艮は、売上増、粗利益減、利益減で、止(とど)む。売上も、粗利益も減ったけど、利益は増えた。
坤は、売上減、粗利益減、利益減で、順(したが)う。売上も、粗利益も減って、利益も減った。

総資本を例にすると、

初爻、流動負債、二爻、固定負債、三爻、資本

乾は、資本増、固定負債増、流動負債増で健やか。資本も、固定負債も、流動負債も増加している。健やかか否かは外卦と組み合わせて観る。
兌は、資本減、固定負債増、流動負債増で説(よろこ)ぶ。固定負債も、流動負債も増えているのに、資本が減っている。悦ぶべきか。
離は、資本増、固定負債減、流動負債増で麗(つ)く、明。流動負債が増えていて、固定負債が減って、資本が増えている。何が明らかなのか。
震は、資本減、固定負債減、流動負債増で、動く。流動負債が増えていて固定負債も資本も減っている。動くべきか。
巽は、資本増、固定負債増、流動負債減で、入(い)る。固定負債が増えていて、流動負債が増え、資本が減っている。
坎は、資本減、固定負債増、流動負債減で、陥る。固定負債が増えていて、流動負債が減って、資本が減っている。
艮は、資本増、固定負債減、流動負債減で、止(とど)む。固定負債も、流動負債も減っていて、資本が増えている。ここで止めなければ。
坤は、資本減、固定負債減、流動負債減で、順(したが)う。固定負債も、流動負債も、資本も減っている。順うしかない。

総資産を例にすると

初爻、流動資産、二爻、固定資産、三爻、総資産

乾は、総資産増、固定資産増、流動資産増で健やか。固定資産も、流動資産も増え、総資産も増え健やか。
兌は、総資産減、固定資産増、流動資産増で説(よろこ)ぶ。固定資産も流動資産も増えているのに総資産が減っている。
離は、総資産増、固定資産減、流動資産増で麗(つ)く、明。固定資産が減っていて、流動資産が増えて、総資産が増えている。
震は、総資産減、固定資産減、流動資産増で、動く。流動資産が増えていて固定資産が減り、総資産が減っている。動くべきか。
巽は、総資産増、固定資産増、流動資産減で、入(い)る。流動資産が減って、固定資産が増え、総資産が増えてている。
坎は、総資産減、固定資産増、流動資産減で、陥る。流動資産が減り、固定資産が増え、総資産が減っている。
艮は、総資産増、固定資産減、流動資産減で、止(とど)む。流動資産が減り、固定資産が減り、総資産が増え。
坤は、総資産減、固定資産減、流動資産減で、順(したが)う。流動資産が減り、固定資産が減り、総資産が減った。

費用を例にすると

初爻、総費用、二爻、固定費、三爻、変動費

乾は、総費用増、固定費増、変動費増で健やか。固定費も、変動費も増え、総費用も増え健やか。
兌は、総費用減、固定費増、変動費増で説(よろこ)ぶ。固定費も変動費も増えているのに総費用が減っている。
離は、総費用増、固定費減、変動費増で麗(つ)く、明。固定費が減っていて、変動費が増えて、総費用が増えている。
震は、総資産減、固定費減、変動費増で、動く。変動費が増えていて固定費が減り、総費用が減っている。動くべきか。
巽は、総資産増、固定費増、変動費減で、入(い)る。変動費が減って、固定費が増え、総費用が増えてている。
坎は、総資産減、固定費増、変動費減で、陥る。変動費が減り、固定費が増え、総費用が減っている。
艮は、総資産増、固定費減、変動費減で、止(とど)む。変動費が減り、固定費が減り、総費用が増え。
坤は、総資産減、固定費減、変動費減で、順(したが)う。変動費が減り、固定費が減り、総費用が減った。

兌の様に、一見、成り立たない卦もあるが。時としてこのような卦が現れる事がある。
それは、何かの兆しであることがある。
経常的費用ではない所で費用が発生する事があるからである。

利益の卦を作ると。
利益は、初爻売上、二爻粗利益、三爻営業利益、四爻経常利益、五爻特別利益、上爻純利益。

利益の内卦を例にすると、乾は、売上増、粗利益増、営業利益増で健やか。
兌は、売上減、粗利益増、営業利益増で説(よろこ)ぶ。
離は、売上増、粗利益減、営業利益増で麗(つ)く、明。
震は、売上減、粗利益減、営業利益増で、動く。
巽は、売上増、粗利益増、営業利益減で、入(い)る。
坎は、売上減、粗利益増、営業利益減で、陥る。
艮は、売上増、粗利益増、営業利益減で、止(とど)む。
坤は、売上減、粗利益減、営業利益減で、順(したが)う。

利益の外卦を例にすると、乾は、経常利益増、特別利益増、純利益増で健やか。
兌は、経常利益減、特別利益増、純利益増で説(よろこ)ぶ。
離は、経常利益増、特別利益減、純利益増で麗(つ)く、明。
震は、経常利益減、特別利益減、純利益増で、動く。
巽は、経常利益増、特別利益増、純利益減で、入(い)る。
坎は、経常利益減、特別利益増、純利益減で、陥る。
艮は、経常利益増、特別利益減、純利益減で、止(とど)む。
坤は、経常利益減、特別利益減、純利益減で、順(したが)う。

利益は、初爻在庫、二爻人件費、三爻一般管理費、四爻金融費用、五爻特別損失、上爻配当あるいは納税額。

利益に対する費用の内卦に例えると乾は、在庫増、人件費増、一般管理費増。
兌は、在庫増、人件費増、一般管理費増で説(よろこ)ぶ。
離は、在庫減、人件費減、一般管理費増で麗(つ)く、明。
震は、在庫増、人件費減、一般管理費増で、動く。
巽は、在庫減、人件費増、一般管理費減で、入(い)る。
坎は、在庫増、人件費増、一般管理費減で、陥る。
艮は、在庫減、人件費減、一般管理費減、止(とど)む。
坤は、在庫増、人件費減、一般管理費減で、順(したが)う。

利益に対する費用の外卦に例えると乾は、金融費用増、特別損失費増、配当増。
兌は、金融費用減、特別損失費増、配当増で説(よろこ)ぶ。
離は、金融費用増、特別損失費増、配当増で麗(つ)く、明。
震は、金融費用減、特別損失費増、配当増で、動く。
巽は、金融費用増、特別損失費減、配当減で、入(い)る。
坎は、金融費用減、特別損失費減、配当減で、陥る。
艮は、金融費用増、特別損失費減、配当減で、止(とど)む。
坤は、金融費用減、特別損失費減、配当減で、順(したが)う。

小成卦だけでもいろんな分析ができる。

例えば、利益の内卦
離は、売上増、粗利益減、営業利益増で麗(つ)く、明。
艮は、売上増、粗利益増、営業利益減で、止(とど)む。

離と艮は、明暗を分けているが、これは、費用の影響を受けている。
そこで、費用の内卦と組み合わせて見てみるという様に。

このように、経営状態と卦に結び付けて分析する手段は、粗利益率とか資本回転率の様に一意的に答えを導き出すのと違い。相手に応じた対応を可能とする。

陰陽の法則は、
陰陽対立
陰陽常在。陰陽は、常に存在する。、
陰陽独立。混沌(この世)が、陰陽に分かれた時点から、陰と陽が独立に存在する。
陰陽依存。すべてのものが、陰陽に分けられると言うことは、陰陽ででできていることになる。
逆に言えば、陰陽なしでは、存在できないことになり、陰陽が依存し合わなければならない。
陰陽消長(陰が増えれば、陽が減り、陽が増えれば、陰が減ること)
陰陽転化(陰は陽に、陽が陰に、変わること)
陰の元は陽であり、陽の元は陰であるということを意味する。

中正と言う器が必要になります。この中正の中で、陰陽は、バランスをとっているのです。
物が存在するためには、中正は、絶対に必要なものなのです。中正のバランスが、崩れると、物は、四散するのです。

時間の流れは、初爻 から上爻へと。
それに伴い、初爻をその卦の入り口(始まり)とし、上爻を出口(終わり)とする。

内卦(ないか)を近いところとし、外卦(がいか)を遠いところとする。
内卦を自分とし、外卦を相手とすることもある。
内卦を内側とし、外卦を外側とすることもある。
内卦を下方とし、外卦を上方とすることもある。

爻には、天地人の位があり。これを三才という。
小成卦では一番下の爻が地の位、二番目の爻が人の位、一番上の爻を天の位とします。
小成卦も大成卦もこの天地人の、二つから成っています。

古来、中国には三をもって多となすという考えがある。
二爻から三爻へは少より多への移行であり、変化である。
この、三つの爻をもって陰陽の変化、天地人の道の基本的なものは表されると。

初爻の位が一番 低くい位であり、上爻が一番高い位です。
組織だへ、そのピークは五爻に当たります。
五爻は会社で言えば社長、四爻は、社長をすぐそばで支える専務のような立場であり、初爻となれば平社員です。
上爻はと言えば、会長に当たります。

陰陽には正、不正の定位がある。

易では、奇数は陽、偶数は陰とされます。
そして、爻の位によって陰陽の決まった席があり。
奇数である初爻、三爻、五爻は陽の席で、陽があるのが吉。
偶数である二爻、四爻、上爻は陰の席で、陰があるのを定位とし、吉とする。
ちょうど、完成を意味する卦の水火既済がその条件に当てはまります。

経営の卦で言うと

上爻資本に陰
五爻負債に陽
四爻資産に陰
三爻売上に陽
二爻費用に陰
初爻利益に陽

出た卦の各爻を、陰陽の定位に当ててみて、陽の位に陽爻があれば
「位が当たる」、「正位を得る」と言って、正当と見る。
そうでない場合、「不正」「失位」「失正」などといって
自然の法則や正道に反すると見ます。陽の位に陰でいる場合は消極的になり
陰の位に陽でいる場合は力以上のことをやりすぎる傾向がある。

しかし、これはあくまで原則であり、比・応・乗・承の関係で必ずしも吉凶は決定的ではない。

爻には、中と正がある。
中とは下卦の真ん中、上卦の真ん中、すなわち二爻と五爻をいいます。
これが爻の定位どおり、つまり二爻が陰、五爻が陽の場合に「中正」といい、大変に良いものとされる。
易では中の徳を尊ぶ、「時中の教」という言葉もある。

二爻が陽で、五爻が陰の逆の相であっても
定位の時ほどではないにしても、やはり人から評価される。
二爻が陽であれば「行動力があり、頼もしい」とか、五爻が陰であれば
「思慮深く、信頼できる」といった誉め方をされる。
ですから、二爻と五爻は定位であろうとなかろうと
基本的に安定した好ましい位であるということです。

これに対して、その他の爻の場合では、位が正しいか正しくないかが重要視される。
五爻の陽位に陽爻をもっている時は剛健中正といい
二爻の陰位に陰爻をもっている時は柔順中正といって、最も吉幸に富むものとされ
たとえ位が正しくなくとも、剛中であるとか柔中であると不正は咎められないのに対して、ほかの諸爻は位が正しくとも、必ずしも吉幸とはならない。
不正の場合は明らかに凶の意味が協調されることになります。
これは、三爻(凶多しといわれています)と
四爻(催れ多しといわれています)、および上爻の場合に、顕著です。
そこで、爻の中・正・不中・不正に関連して
吉・凶・悔・吝・各なしといった判定が下されるのです。

応爻と比爻、乗と承
応爻とは、内卦と外卦のそれぞれの爻が、二爻ずつへだてて
陰陽互いに相応じ、呼応し合う関係のことをいう。
初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻との関係について陰陽応じているものをいい、陰同志・陽同志の場合は不応、または害応・敵応といい、すなわち応じていないとする。

応爻とは…?
初爻と四爻の関係が「応爻」です。
二爻と五爻の関係が「応爻」です。
三爻と上爻の関係が「応爻」です。
この三種類の関係のことを「応爻」と言い、どんな場合においても、これは変化しません。

経営で言うと初爻利益と四爻資産
二爻費用と五爻負債
三爻利益と上爻資本

応で重要なのは、二爻と五爻との応で、ともに中を得ているもの同志の応であり。
両者の協力によって大事をなし遂げることができると考えられるからです。
これに対して、不応、つまり害応の場合は、応援や協力を得られないため大事の決行は無理ということになります。

つまり、費用と負債の関係が重要となる。

比爻とは、隣にある爻が陰陽の関係にあるものをいう。
比は、親しむの意味で、男女が隣り合わせの席に座るようなもので、親密な関係を示す。
陰と陰、陽と陽とは不比となり互いに親しまず。
他人同志でよそよそしい関係とみます。
応爻の関係が世間や取引先からの応援や協力であるのに対して、比爻の関係は、友人や親類や隣り近所といった身近な
狭い人同志の協力や援助を指す。規模は小さく、応爻ほど力は強くありません。
水火既済の卦では、六爻すべて応爻および比爻となっています。

比爻とは、隣り合う爻のことを指します。

初爻売上にとっての比爻は、二爻費用だけです。
二爻費用にとっての比爻は、初爻売上と三爻利益。
三爻利益にとっての比爻は、二爻費用と四爻資産。
四爻資産にとっての比爻は三爻利益と五爻負債。
五爻負債にとっての比爻は、四爻資産と上爻資本。
上爻資本にとって比爻は、五爻負債だけです。

「陰と陰」「陽と陽」など同じものでは引き合いません。
「陰と陰」の場合は互いに弱く、引き合う力がありません。
「陽と陽」では、互いに強いため、反発し合います。

乗とは、比爻の関係で、陰爻が陽爻の上にあるときをいい。
好ましくないとされます。
承とは、同じく比爻の関係で、陰爻が下で陽爻を受けている場合をいい。
好ましいとされます。

いろいろ判断する場合、乗も承も陰爻をもととして比爻に陽爻がくるかこないかを見る場合が多い。

更に、利益の大成卦を作る。
利益の大成卦の構成は、初爻は、売上、二爻は、粗利益、三爻は、営業利益、四爻は、経常利益、五爻は、特別利益、上爻は、純利益。
費用は、初爻は、在庫、二爻は、人件費、三爻は、一般管理費、四爻、金融費用、五爻は、特別損失、上爻は、配当。

売上には経常利益。
粗利益には、特別利益が応じ。
営業利益には純利益が応じている。

売上には、粗利益だけが比し。
粗利益には、売上と営業利益が比し。
営業利益には、粗利益と経常利益が比し。
経常利益には、営業利益と特別利益が比し。
特別利益には、経常利益と純利益が比している。

また、費用の大成卦では。
在庫には金融費用が応じ。
人件費には特別損失が応じ。
一般管理費には、配当が応じる。

在庫とは、一般管理費だけが比し。
人件費には、在庫と一般管理費が比し。
一般管理費には人件費と金融費用が比し。
金融費用には、一般管理費と特別損失がひし、
特別損失には、金融費用と配当が比し。
配当には、特別損失だけが比している。

易には、天地人の相がある。
天の時、人の和、地の利。
天の時とは、段階、手順、順序等。
人の和とは、組織、地位等。
地の利、社会、環境、ロケーション等。
易によって観相をする相手や対象の天地人の条件が前提となる。

陰陽は、回転、循環、周期、波動運動である。

回転、循環、周期、波動の動きは、前後、上下、左右、寒暖、内向外向として現れる。動きには、位置と方向がある。
回転、循環、周期、波動の働きには、強弱、増減、高低等がある。
その他の働きには、速度等がある。

この様な動きや働きが天地人に感応して卦を生み出す。

易を観る人、対象によって爻の読む位置が変わる。

時間は、爻には六段階がある。
易では、五爻を頂点とする。
順序というより、どこに重点があるかと考えればいい。
変化では、五爻が頂点で、上爻は、終点。
そこから、初爻は始点で、二爻が出発点といえる。
故に、二爻と三爻が、中となる。
段階を四つに区切り、五爻を最終到達点とし、上爻余生と見なす。これが天の時。
組織における役割にも段階がある。
初爻新人、二爻見習い、三爻担当、四爻責任者、五爻統括、上爻相談役。これが人の和である。
地の利にも段階がある。
初爻自分の生活範囲、二爻仕事の範囲、三爻国の範囲、四爻同盟国、五爻世界、上爻宇宙。

易による分析をした上、指標による分析をする。
指標には、利益率、資本回転率、在庫回転率、総資産利益率等である。

総資産利益率、総資本回転率は応爻。
総資産回転率は、比爻。

減価償却費は、固定資産が陽に、固定負債と資本が陰に働き、投資を元とする。
運転資本として流動負債と流動資産が対応する。

次に、実際の数字を小成卦、大成卦にはめ込み、結び付けていく。
小成卦だけでもいろいろな事が読める。

仮に利益の内卦の小成卦が。離だとする。
離の利益の卦は売上増、粗利益減、営業利益増で麗(つ)く、明。

これに応じる費用の内卦はには、離、震、巽、坎、艮、坤がある。

離は、在庫減、人件費減、一般管理費増で麗(つ)く、明。
震は、在庫増、人件費減、一般管理費増で動く。
巽は、在庫減、人件費増、一般管理費減で入(い)る。
坎は、在庫増、人件費増、一般管理費減で陥る。
艮は、在庫減、人件費減、一般管理費減で止(とど)む。
坤は、在庫増、人件費減、一般管理費減で順(したが)う。

応爻は、売上に在庫。
粗利益に人件費。
営業利益に一般管理費である。

中は、粗利益と人件費。
粗利益に対する比爻は、売上と営業利益。
人件費に対する比爻は、在庫と一般管理費である。

一般管理(人件費を除く)の中に減価償却費が含まれる。
減価償却費は、固定資産に陽に、固定負債、資本に陰に働く。
そして、投資を元にする。

固定負債の比爻は、資本と流動負債である。
また。応じているのは粗利益である。

外卦だけ切り出してみると。

損益の外卦は、貸借である。
貸借は、初爻、負債、二爻、資産、上爻、資本

負債と資本は、総資本に、資産は総資産に応じている。

貸借の小成卦が艮で総資本が震で、総資産が兌の小成卦だとする。
艮は、負債増、資産減、資本減。艮の働きは止(とど)む。
負債は増えたけど、資産も資本も減った事を現している。

また損益全体で言うと、負債と売上が応じ、資産と粗利益、資本と利益が応じ。
なかは、資産と粗利益である。

次に総資本と総資産の小成爻を応じさせる。

総資本は、初爻、流動負債、二爻、固定負債、上爻、資本
総資産は、初爻、流動資産、二爻、固定資産、上爻、総資産とする。

流動資産と流動負債が応じ。
固定資産と固定負債が応じる。
総資産と資本が応じ。

そして、中は、固定資産と、固定負債である。

総資本が震で、総資産が兌の小成卦であるから。
震は、資本減、固定負債減、流動負債増。
兌は、総資産減、固定資産増、流動資産増。
初爻は陰と陰、二爻、陰と陽、三爻、陽と陽。
中は、陰と陽である。つまり長期借入金が減り、その分、買入債務、あるいは、短期借入金が増えたことが推測され。
それに応じて、固定資産が償却され、在庫や売上債権が増えたことが予測される。
三爻の流動資産と流動負債は、運転資本であるから運転資本が増加傾向にある事がわかる。
在庫は、流動資産に陽に働き、流動負債に陰に働いていて、元は、売上である。
運転資本の増加は資金繰りに結びつく。

留意すべきは、長期借入金と設備更新である。

これらの関係を調べるだけでも得るところがある。

易は易である。
最終的には、経営指標と参照する。

今までの分析だと利益率だとか回転率を出せても、それが、借入金限度額のような具体的な経営判断や施策には、なかなか、直接的に結びつかなかった。易は、実際の判断に直結できる。

易は窮まれば変ず。
変ずれば通ず。
通じれば久し。

物は窮まるべからざるなり。故にこれを受くるに未済(びせい)をもってしてここに終る。