なぜ、予算を立てるのか。

例えば、予算を立てなさいと指示された時。
予算を立てろという事以外何も決まっていないという事を忘れてはならない。
この時点で、確認する事というのは、予算を立てるという事だけ。

予算を立てる必要があるとか。
予算がなければ拙いとか。
予算があたらいいなという段階では、まだ、話の段階で、指示ではない。
その段階に留まっていたら話の話になる。

予算を立てなさいと言われて、はじめて、指示となるが。
現実には、指示命令の要件を満たしてはいないので、正式な指示としては受け取れない。

この段階でわかっているのは、予算を作るという事だけ。
そこで、指示として成立するように要件を満たしていく。

まず誰が。
誰を責任者、あるいは、担当者にするのか。
何の責任者、あるいは、担当者とするのか。

この辺は、その時点で決められることを手順に決めていく。

勘違いしてはならないのは、この時点では、予算を作るという事以外何も決まっていない。
よくあるのは、勝手に、自分が全権を任されていると錯覚する事。
それで、いきなり投げ出す。無理ですって。

この段階では、責任者といったって、
何の責任者も決まていない。
つまり、予算の責任者なのか。
予算を準備する責任者なのか。
次回の打ち合わせをするための責任者なのかも決まっていない。

一つひとつを手順に沿って決めていく。
いきなり、総責任者を決めようとするのは、ちょっと、乱暴な話。

ただ、いつごろまでに、どのように、完了させるかくらいの大枠は作っておく。
大枠と言っても目処だよね。
おおよそ、予算を来期が始まるまでに立てるというくらいは、わかります。
それでも、最初の段階では、予算を、今期中に立てる程度。

それでは、なぜ、予算をたてる必要があるのか。
予算とはなにか。
予算をどうやって立てたらいいのか。
誰に聞いたらいいのかわかりません。

予算とは何かといった観念的な事ではなくてて。

実利的、実際的な事で。
また、予算の作り方みたいな、技術的な、ハウツウでもなくて。
なぜ、予算が必要なのかとか。
実際的、実利的な理由。

資料や情報というのは、自分の知りたいことに基づく。
型通りの情報である必要はない。
自分が何を知りたいか。
どういう情報が欲しかが基本。
自分が何を知りたいかがわからなければ、情報なんて無意味。

任された時に持つ素朴な疑問、不安さ。
それが予算を立てる時の本当の目的。
今期はなんとか黒字にできたけど、来期は大丈夫だろうか。
何か、想定外のことが起きたら、どうしよう。
即決しなければならない事が起きたときの準備はできてるだろうか。
今はいいけどこの先も大丈夫だろうか。
今のままでいいのだろうか。
皆はわかっているのだろうか。

そういう事だと。
来期の見通しを立てる。
人員計画や投資計画を立てる。
売上目的を立てる。
資金計画を立てる。
くらいが、本来の目的。
予算を立てるというのは、最終ユーザーが、何を欲しているか。
必要としているかで決まる。
それを無視して、聞かなければ始まらない。

今期は黒字だったけど、来期は、不安だというのなら。

基本的に、何もしない。
何も変わらなかったら。
どうなるか。
そんな所から着手するのが自然。

基本的な条件の変化、人員の自然増減、平均人件費の変化などを加味しながら。

今期と比較して。
大つかみに、目安を立てる。

次に、為替や、仕入れ価格の変化をどう組み込むかを考える。
不足部分をどう補うかを考える。
その上で長中期的な変化に対しての対策を立てる。

なぜ、予算を立てる必要があるのかも考えないで、いきなり、予算を立てはじめるなんて無謀なんだよ。
大体、、皆、最初に結末の事ばかり考える。
そうすると、足元も、先行きも見えなくなるから、何も、着手できないで時間ばかり過ぎっていく。
それで、切羽詰まってから、結末から組み立てていくものだから、作業が遡る。
結論に合わせって、やることを決め、調査をして、結論から、方針を定め、目的を結論から導き出す。
要は、最初から答えは出ているけど、実際は、やってみないとわからない。

予算も、本来の目的が失われ。
単に、気休めの為に作る事になる。

我々がよく注意されたのは、わかている事から確認しろ。
できる事から、着手しろ。
言い換えると、事実のみを述べよ。
最初は、物足りなくて、つい一言と付け足す。
そうすると、余計な事は言うな。
聞かれた事だけ答えろ。
一言多い。それを、蛇足というのだ。
簡単に整理しても、ようやくしても怒られる。
その段階で指示内容が変わると。
最初に確認するのは、馬鹿にしないで。
わかりきった事というようなこと。
最初から、一部の人間しかわからない事を確認しても意味がない。
下手に、わかりましたなんて言おうものなら。
一度聞いたくらいで、わかるわけないだろと怒鳴られた。
そういう時は、取り敢えず話だけ聞いとけ。
やっているうちに、おいおいわかってくると。
最初は、物足りない、あっけないほど簡単な事。
だから、みんなで出発点が共有できる。
指示されたことを、そのまま確認する。
それなら三分でできるし、抗命もできない。
故に、即刻、着手できる。

決められることから決めろ。
決める事がなければ、次回いつやるかを決めろ。
次回までに何を準備するかを決めろ。
そう言われてきた。
最初から、不確かな事、憶測、推測に基づくから見えなくなるんだ。
できる事、確かな事から始める。
何ができて、何ができないか。
何がわかっていて、何がわからないのかを確認する事から始める。
仕事は、薄皮を剥ぐようにして始まり、進む。

予算を作成する過程で、組織の経営状態や目的を、全員に共有させ、浸透させることで、一人ひとりが自分の意志で判断できるようにするのが予算を作成する真の目的である。