現代社会は、個人主義の上に築かれている。それなのに、個人主義は、正当に評価されてはいない。
個人主義が正当に評価されていないことによって、いろいろな弊害が起こっている。そして、その弊害が、社会の混乱を招いている。
個人主義の発達が、自由主義と民主主義を発達させた。そして、近代社会の礎が築かれたのである。しかし、その裏側で、利己主義や快楽主義、刹那主義が蔓延し、また、軍国主義、民族主義、全体主義、国家主義などもはびこっていった。
近代産業の発達や科学の発展は、個人主義の光の部分だ。しかし、戦争や公害、環境破壊、大量破壊兵器、文化の退廃は、個人主義の陰の部分である。
個人主義は、個人の持つエネルギーを根本としている。個人の持つエネルギーの本質は、欲である。故に、個人の持つエネルギーを制御できなくなると、個人主義社会には、あらゆる欲望が噴き出してくる。我利我利、亡者や、エゴイスト達によって、自然は破壊され、貴重な資源が食い尽くされている。
価値観の基準が、貨幣的基準や物質的基準に取って代わられ。内面の高貴さや高潔さは、二義的なものとして捨てられてきた。
その結果、我利、我欲が、この世を破壊しつくす。
人類文明、民主主義の発展が、個人主義の光ならば、文化の退廃や人類の堕落は、個人主義の陰の部分だ。そして、人類は、この陰の部分に覆い尽くされようとしている。
この様な深刻な事態を招いたのは、個人主義が、思想として確立されていないことにある。今こそ、個人主義の土台を確立し、自由主義、民主主義の礎を盤石のものとして、人類、恒久の平和と繁栄を築かなければならない。
個人主義者が、命をとしても守らなければならないのは、個人の意志と信念である。そして、何よりも、愛する者達である。